○三宅島への旅・ルポ④(ある店主からのメッセージ)
文章も書かずいきなり一枚の大写しの写真を紹介します。
今回の三宅島の旅で私がもっとも衝撃を受けた三宅島からのメッセージでした。佐久間議員さんの島を一周中偶然にも目に飛び込んできたのはある美容院の壁に書かれた落書きでした。東京などによくある意味不明の看板とは違い、これはこの美容院を大きな夢を持って開店したものの危険区域に指定されたため閉店・廃業・離島を余儀なくされた店主自らが書いたものだそうです。
春若葉 夏は海空 秋夕日 冬は西風
共に笑み 此処に生死 許されず
もう頑張れない SOS 三池
前段で三宅島の美しくも長閑な自然を歌い上げ、此処に生きようとしても許されず、生まれた処で死のうと決意をしても死ぬことさえ出来ない厳しい現実を訴えています。そして最後の「もう頑張れない SOSという店主からのメッセージは心ある人なら誰もが胸を痛め涙が出ることでしょう。日本人の記憶は薄情なもので帰島が許されたニュースで三宅島の話題は一応決着したかのように新聞やテレビから消えてしまったのです。でも現実は何ら変わらず残っていました。
もう一つ、ショッキングな写真を紹介します。
この写真何だと思いますか。上の写真は流れ出した溶岩や土石流に埋まった鳥居の頭が地上に顔を出しているのです。下の写真の向こうに見えるのは埋まった社の社殿なのです。つまり人間の背丈の2倍以上の溶岩や土石が流れてきて付近を埋め尽くしたのです。
島の人は信仰に厚く、自分たちの暮らしも大変なのに直ぐ傍には立派な朱塗りの鳥居と社殿が見事に復興されていました。
海岸には最近の噴火で道を塞いだ海沿いに小さな噴火口がまるで絵に書いたように見えました。普通だと絶好の観光スポットなのでしょうが、訪れる人もなくひっそりとしていました。
落書きと鳥居の頭、それに噴火口の跡が発する私たち人間への強烈なメッセージは「自然をあなどってはならない」ことでしょうし、「人間同士の互助精神を忘れてはならない」ことだと心に強く受け止めました。
島のあちらこちらに設置された青・黄・緑・赤の回転灯が何故か記憶の中で回っています。
青ーレベル1(0.2PPm)高感受性者注意報
黄ーレベル2(0.6PPm)高感受性者警報
緑ーレベル3(2.0ppm)火山ガス注意報
赤ーレベル4(5.0ppm)火山ガス警報
幸い私の滞在中に回転灯は回りませんでしたが、講演中に主催者はガスを感じ窓を閉めたりして少し慌てた場面もあったとあとでお聞きしました。
「落書きに 衝撃受ける メッセージ SOSの 意味紐解いて」
「静まれと 言わんばかりに 赤鳥居 山の神々 願い叶えて」
「ああ俺は この落書きを 見てもなお 何も出来ずに ただ心痛める」
「あちこちに 設置されたる 回転灯 携帯電話で 濃度測りぬ」