○人間何が幸せか
私を勝手に「ししょー」と仰ぐ丹原町、いや今は合併して西条市丹原町に住んでいるちろりん農園の西川君に逢う度に「人間何が幸せか」考えさされます。彼は大阪出身で鳥取大学農学部を出て高校時代から付き合っていた彼女とともに丹原町にやって来て、農業を営むようになりました。丹原町来見という地名がかつての人気番組「ちろりん村とくるみの木」に似ていたのでこの名前の農園を作りました。鶏を飼ったりその糞で有機野菜を栽培したりする循環農業で生計を立てていますが、儲かる農業とは程遠く、年収100万程度だというのです。奥さんは空いた時間にピアノを教え、当の西川君は消防団や文化会館運営員など世に言う俗世と隔離することもなく普通の暮らしを穏やかに暮らしています。彼の生き方に共鳴する海外や国内の若者を研修生として迎え入れ、ギターを弾いたり、自家発電をしたり、自家製造のアルコール飲料を持ち歩くなどとにかく人生を楽しんでいるようです。
彼の凄さは「みのり通信」というB4タイプの通信文を長年にわたって書き綴り、「晴れときどきちろりん」を出版しています。私も序文を書いてくれと頼まれ書きましたが、書く、喋る、実践できる数少ないマルチ人間です。
いつどこで知り合ったのか未だに思い出せませんが、彼と会うたびに余分なお金など必要ないとしみじみ思うのです。自分の暮らしを見つめ直してみれば、人とのお義理的な付き合いや日々の暮らしがいかに贅沢で無用なものにお金をかけているかがよく分かります。昨日も軽四トラックに乗って平気で私たちの前にさっそうと屈託もなく姿を現わしました。
バンダナを頭に巻いた姿も格好いいし、私の憧れの人でしょうね。これから彼の生き方に少しでも近づきたいものです。
「人間は何が幸せか」、この遠大で究極の自分自身への問いかけに、退職を機に出会ったいわば「何が幸せか元年」とでもいうべきこの一年でした。残りの日めくりの枚数の方がこれまで日めくった枚数より酸くなった今こそ幸せについてもっともっと考えて生きてゆきます。この一年ではっきりしたのは「人生お金じゃないな」でした。
「あれだけの収入よく喰う人は言うそれでもその人人より楽し」
「お金など持っては行けぬあの世には何故にあくせくお金に執着」
「俺見ろよ歳末義援に寄付をしたちょっぴり一善いい年来るかも」
「傷跡が痛むからとてサポーター妻が配慮の上から撫でる」