shin-1さんの日記

○お気に入りのネクタイ

 高校を卒業し家業を継いだ私にとってネクタイやワイシャツは無縁な存在でした。初めてネクタイを締めたのは成人式、しかも自分でネクタイが結べず父親が藁草履を作るような格好で足の親指にネクタイを引っ掛けて輪を作り首へ入れてくれました。その後の青年団活動や転職もあって、あれ程違和感のあった肩苦しいはずのネクタイが、今ではネクタイをしないと何か忘れ物をしたような感じがするから、慣れというのは不思議なものです。

 余り服装にこだわらない私ですが、私の洋服ダンスのネクタイ掛けには40本以上のネクタイが無造作に吊り下げられています。その殆どは一年に一度も日の目を見ない無用のネクタイですが、何故か捨てがたいものばかりで相変わらずそのままの状態です。

 私はネクタイを選ぶ基準はありません。普通の男性だと季節や会合の相手に合わせて選ぶようですが、どうせ似合わないと鷹を食って無造作に愛用の数本の中から似合いそうなものを選らぶのですが、妻はそんな私に「それは似合わない」とか「これをして行ったら」とか注文をつけます。最後は私の「うるさい、これにする」で決まるのです。

 先日息子が「お父さんこのネクタイ貰っていい」と唐突に言うのです。私のネクタイを欲しがる息子も私に似て無頓着だと思いました。私が好みに合わないと思っていたネクタイなのに気に入って使っていますが、息子は背も高く親が言うのも何ですが、結構男前なのでそのネクタイがとても似合っています。ネクタイも親子兼用なんて時代が来たと思っていたら、まとめて4~5本息子に取られてしまいました。

 退職したらもうネクタイも不要だと思っていましたが、大学の講義や全国を巡っての講演活動にはまだまだネクタイが必要なようです。先日も妻や娘が退職記念にネクタイをプレゼントしてくれましたが、ここに来て役に立つかも知れません。しかし妻や娘はお高い一流メーカー品をくれたのですが、先日東京下町へ行くと1本千円なんてネクタイがたくさん売られており「あの金額なら10本買える」と、帰って妻に話すと「あなたには猫に小判だ」と詰られました。

 妻と娘に買ってもらったネクタイを締めて講演会に行きましたが、ある女性が「いいネクタイしてますね」と褒めてくれました。結局はネクタイしか、はいネクタイしか褒めてくれませんでした。結局は締めやすいお気に入りのネクタイを締め今日も出かけました。

  「このネクタイちょっと派手だと思ったが似合うといわれて思わずニンマリ」

  「ある女性ネクタイ贈ってくれましたもてない夫に妻やきもせず」

  「流行に遅れたはずのわがネクタイ息子の首をシャキリ飾って」

  「虫干しのつもりで締めたネクタイをくれた女性は忘れてました」

  

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