人間牧場

〇結婚披露宴での主賓の祝辞

 「祝辞は縮辞といって短め、弔辞は長辞といって長めを旨とすべし」は私のけだし名言です。結婚披露宴の司会を537組やった経験や、役場に35年間勤めていた関係で、あいさつは若いころから耳にタコができるほど聞いてきましたが、これといった記憶に残るあいさつは指折り数えてもそんなにはないものです。当然私も晩年はそれなりの場面や場所であいさつをしてきましたが、自分で納得するようなあいさつも余り記憶に残っていないのです。
 もうこの歳になると、あいさつする機会はそんなにないはずなのに、年輪塾の塾長、21世紀愛媛ニューフロンティアグループの代表等の肩書きが残っているため、時々思いつくままのラフなスタイルでのあいさつを行っているのです。

 昨日は私の40年来の古い付き合いをしている塩崎満雄さんから息子さんの結婚式にあいさつをしてくれと頼まれました。断わる理由もないので気安く引き受け、受付でパンフレットを見てビックリしました。披露宴の進行次第には主賓あいさつ若松進一と書かれ、私以外に挨拶をする人は予定されていないのです。多少ビックリしながらさてどういう話にしようかと迷っているうちに披露宴は始まりました。新郎新婦が入場し司会が新郎新婦の紹介と二人の出会いの馴れ初めをし終え、私の名前が呼ばれ高砂の席のスポットへ案内されました。実はこの日私はあいさつに聞く人も驚くある秘策を考えて臨んでいたのです。
 その秘策とは、私が最近講演会等でよく使う携帯用の電光掲示板です。ネクタイにまるでネクタイピンのようにつけてマイクの前に立ちました。やわらスイッチを入れると、電光掲示板の文字が右から左へと流れて行くのです。

 結婚式を祝す。塩崎太志さん・川端里江さんご結婚おめでとうございます。お袋・智恵袋・月給袋・胃袋・堪忍袋・子袋の6つの袋が大事。幸せはみなみ(南)(皆身)にあり。


 

 

 

 

 

 

  

 僅か80文字がネクタイにつけた小さな電光掲示板のうえをすべるように流れて行くのです。遠い末席からは文字を読み取ることは出来ませんが、まだお酒によっていない時間でもあり、会場のみんなが一斉に私に注目したのです。そして私のスピーチはこの電光掲示板をオートローディングさせながら話させてもらいました。マイクの通りもよく、原稿を書かなかった割にはスムースにいい祝辞を話せたと自負しているのです。
 実はこの仕掛け、結婚式の前日に思いつき、新居浜に住む友人のミミック十亀さんに無理を言って手助けしてもらい、入力してもらったのです。昨日結婚披露宴から自宅に帰り、私は直ぐに手伝ってもらった十亀さんに披露宴の様子を交えてお礼のメールを送りました。何気なく話せば何気なく終るあいさつですが、ちょっと発想を変えただけで注目を浴びるのです。私は昨日食事を終えて席についてからも、ずっとこの電光掲示板のスイッチを切ることもなく、会場の中を移動したりしましたが、まあ行く先々話題になりました。

  「あいさつを 頼まれ急な 思いつき 電光掲示を 使ってみようと」

  「ネクタイに 電光掲示を 着けたまま あちらこちらで 話題沸騰」

  「結婚は 六つの袋 大事だと 諭しの言葉 しっかり述べる」

  「幸せは 皆身にありと 捨て台詞 自分の暮らし 本当にそうだ」

 

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