shin-1さんの日記

○妻の気配り

 「若松さんですか。昨日は美味しいみかんが届きました。いつも心に留めていただいてすみません。家族で美味しくいただきます」と、旅先の秋田県横手市に携帯電話がかかってきました。講演に出かけている、しかも講演が始まる前の緊張した時間にかかったものですから、相手の名前も聞こえにくかったし対応もそこそこに、「今秋田県横手市に来ています。間もなく講演が始まりますので失礼ですがまた後で」と小声で断りを入れて電話を切りました。講演の途中もそのことが気になって仕方がありませんでした。講演終了後携帯電話の着信履歴を読み出したのですが、相手の電話番号は公衆電話になっていてまるっきり分りませんでした。それでも「後で電話します」と言った手前、はてさてどうしたものかと、自宅へ電話をしました。妻もあいにく留守で、結局は明くる日の早朝になって、妻が私の知人友人にみかんを贈ったことが判明し、その中から思い当たる人に電話をかけ、会話が通じたのです。

 私は講演などで日本全国を一年中行脚しています。講演に行く先々で、公私にわたってお世話になり、縁もゆかりもないのにお土産までいただく奇特な人がいて、持ち帰る度にその人の話や町の話題を聞かせながらいただくのですが、過分なものをいただくと、妻はせっせとメモをして返礼に地元の特産品を送るのです。 

 私の町はみかんの産地です。また煮干しなどの海産物の産地でもあるのです。したがって主にそのようなものを送ってくれるのですが、私に余り相談もせず送るものですから、ついつい今回のように送ったことすら知らないで言葉が通じないことがよくあるのです。

 昨日北海道の佐呂間町から立派な帆立貝が届きました。高知県馬路村で開かれた全国大会で船木耕二知り合ったことがご縁で、紋別で開かれた網走管内の社会教育研究大会に招かれました。北海道といえば鮭やじゃがいもやシシャモなど、海の幸山の幸がどっさり獲れるところですが、佐呂間の船木耕二さんは帰りに立派なホタテの貝柱干物を土産に持たせてくれました。そのことが気になっていたのか、私に相談もなくみかんを贈ったそうです。シシャモを送ってくれた北海道鵡川町の菅原さんとともに・・・・。左様なことから帆立貝が届いたという訳です。勿論奥多摩の鈴木さんからはお菓子が、西土佐村の和田さんからは冬至だから風呂に入れろとユズまで届きました。

 船木さんから送られてきた帆立貝はこれまで食べたどの帆立貝よりも一流で、この2日間は妻と親父と三人で美味しい帆立貝の料理を堪能させていただきました。

 妻のこうした配慮は嬉しいもので、私の人間関係のよき潤滑油となっているのです。26歳で結婚して今日まで、波風もありましたが、妻の気配りに感謝するような余裕が持てる年代になりました。面と向って感謝の言葉を言えるほど器用な人間ではありませんが、それでも心の中ではちょっぴりだけ妻の気配りに感謝する今日この頃です。

  「おみかんを 送ってくれて 有難う 突然電話 何処の誰です?」

  「おみかんが 帆立の貝に 変身す 熱々食べて 北に思いを」

  「今晩は ユズのお風呂に 二人して 温もり友の 噂話を」

  「来た孫が 目敏く見つけ 封を切る 奥多摩鈴木 書かれた荷物」

[ この記事をシェアする ]

shin-1

○秋田県横手の街は凄いです③

 前日の交流会が1次・2次・3次会と深夜にまで及び、ウーロン茶と焼きそばの余韻で眠れない夜を過ごしたため、気がつくと時計の針は午前7時を回っていました。急いで身支度を整え思い切って戸外へ出てみました。昨夜からの雪は止んでいましたが辺り一面銀世界、まるでモノクロの写真を見ているような雰囲気でした。

(横手セントラルホテルのエレベーターの窓から見える雪景色)

(ホテルの前の道路の街路樹もまるで白い花が咲いたようです)

 舩木さんと同行の小林さんと三人でバイキング料理の朝食を済ませ、約束の午前8時45分きっかりに横手市物産観光課の方たちが出迎えにやって来ました。市内を視察して何かアドバイスをして欲しいという願いからの見学なのですが、最初に出かけたのは市役所の直ぐ横にあるふるさとセンターかまくら館でした。ここには年中マイナス10度に保たれた冷蔵庫のような展示室にかまくらが置かれいます。横手=かまくらというイメージが定着しているための展示なのですが、妻は友人たちと旅行に来て本物の横手のかまくらを見ているものの、私は初めてとあって興味深く見せてもらいました。私が想像していたかまくらはエスキモーが作っている炭窯風のものでしたが、円筒形なのにも驚きました。

 センターの入口には梵天も置かれていて凄い迫力でしたが、秋田市で秋田竿灯の体験展示を見ているだけに、少し雑然として展示方法に難点があると感じました。

 その後私達は増田の座敷蔵を見学しました。この地域には座敷蔵が70とも80ともいわれているそうですが、とにかくその規模の壮大さと優雅さには度肝を抜かれました。ケヤキの木の木組みやそれらを漆塗りで仕上げた匠の技は、今まで見たこともないような立派さです。かまくらも確かに横手を代表する文化かも知れませんが、この内蔵は全国級だと直感し、舩木さんと二人で様々な提案をしました。多分この文化を理解し情報発信すれば、やり方によっては冬の横手を変えるかもしれないと予感しました。こうした文化財を活用したまちづくりは市役所職員の誰かがまずその価値を信じて先鞭をつけることから始まります。誰がその役割を担うのか、それは夕日でまちづくりをした私のような存在を考えれば明らかです。市役所の無理解と地域の冷めた状況を覆して行くのは骨の折れる仕事でしょうが、そのハードルを越えねば地域は活性化しないのです。

(座敷の中に座敷があるという表現がぴったりの座敷蔵の外観)

(座敷倉の内部)

(座敷蔵の中は中二階になっていて二階部分も立派で、二度びっく

りでした)

 舩木さんと私は座敷蔵と日本舞踊、落語、食文化などとコラボレーションする事を幾つか提案しましたし、その手助けをする事を約束しました。
 私たちはその後、釣りキチ三平のふるさとと呼ばれるまんが美術館を訪ねました。横手市増田出身で「釣りキチ三平」の作者、矢口高雄さんのアトリエを再現したまんが工房は、矢口さんの人脈の広さで集めた日本全国の有名漫画家の原画が沢山展示されていました。入場料無料とは何とも勿体ない話です。

(釣りキチ三平は日本中でも有名なマンガです)

(生涯学習センターホールの緞帳も釣りキチ三平でした)

 慌しい最後はあきたふるさと村です。美術館、トリックアート、手づくり体験工房など複合テーマパークで、秋田県のお土産が全て購入できるようになっていました。年間80万人ともいわれる集客をしているそうですが、第三セクターも経営的にはかなりきついようでした。

(雪景色の秋田ふるさと村)

(ふるさと村ののロビー)

(テナント運営している物産館)

(雪の重みで曲がった竹)

(ふるさと村で稲庭手延べうどんをご馳走になりました。四国は讃岐うどんがありますが、絹のような滑らかな喉越しはやはり名品でした)

  「驚きの 目で見た増田 座敷蔵 これを活かせば 横手は磐石」

  「稲庭の うどんが勝った 料理ショー 讃岐も負けじ ご当地ひいき」

  「かまくらを 初めて体験 冷蔵庫 今度来るときゃ 本物みたい」

  「珍しき 人には雪も いいけれど 住んでる人には 厄介荷物」 

[ この記事をシェアする ]