shin-1さんの日記

○昨日で今年も終りです②

 昨日は大学の授業日でした。しかも年間60時間の最終59時間目の授業なのです。授業の組み立ては大きく分けて三つになっています。まず一つ目は春先から「地域振興とまちづくり」について総論概論や県内外実態などをデスクワークでみっちり学ばせます。そしてその中から県内先進地視察に出かける住みたいまちと訪ねたいまちの採点基準をそれぞれ4テーマ40項目考えるワークショップを四つの班に分かれて行います。二つ目はその調査票を基に県下4ヶ所の市町を調査研究するために出かけます。そしてその調査結果を個人レポートにまとめて班毎に集計し発表します。三つ目はそれらの知識を基に自分たちが訪ねたいまちの理想像、住みたいまちの理想像をそれぞれ4テーマ、40項目設定するワークショップを行いその成果を発表するのです。

 昨晩は三つ目の発表会でした。4回のワークショップと班別討議によって8枚の発表資料がいつの間にか美しく出来上がっていました。昨日はまちづくり人の主張でご指導いただいたえひめ地域政策研究センターの所長さんや3人の研究員も特別参加してもらい賑やかな発表会となりました。昨日の発表会は四つの班がそれぞれ発表するのですが、自分の班以外の班に点数をつけて採点する方式をとりました。発表資料の出来栄え、資料の着眼点、発表の方法、総合点などそれぞれ5点満点で採点しましたが、センター職員にも採点参加してもらいより客観的な方法をとりました。

(グランプリをとった3班の発表)

(2班の発表)
(1班の発表)

(4班の発表)

(発表に聞き入る学生)

(センターの皆さん)

 実はこの発表で最高得点を得た班にグランプリとして賞金を贈る事を考えました。これは毎年やっている私のささやかなプレゼントなのです。賞金といっても私のポケットマネーから1万円しか出さない僅かなものですが、学生の夕食代だと思って続けているのです。これが学生には何故か好評でグランプリを目指して一生懸命頑張ってくれたのです。結果は61点と61.5点という僅か0.5ポイントの差で3班がグランプリを物にしました。

 センターの所長さんや研究員の方にも講評を述べてもらい、また班長さんにもそれぞれ一年間の思い出を述べてもらいましたが、少しジーンとくるような場面もあって、いい発表会で終わりました。帰り際玄関で待ち受けていた学生から別れを惜しむ声が沢山聞かれ嬉しい反応にこちらも少しジーンと来ました。

 長いようでも短い学生たちとの今年度の学びは昨晩で終わりました。学生たちはこれから「私の考える地域振興とまちづくり」「学びの感想」という個人レポートを年明け10日までに提出し、そのレポートと出席簿を基に採点し、レポート類を添付して大学へ提出、私の役目を終わるのです。

 昨日大学の校内で準教授に出会ったら、来年からは夜の授業でなく昼の授業になるかも知れないと耳打ちされました。6限が5限に変わるようです。そろそろ潮時かとも知れないと思いつつ複雑な気持ちで大学の駐車場の白赤の無人出口のバーをくぐって門を出ました。

  「少しだけ 涙がちょろり いいシーン 毎年ながら 終りは寂し」

  「想像を はるかに越えた 成長に お目々細めて 発表を聞く」

  「グランプリ たった一万 だけれども それでもみんな 本気喜ぶ」

  「別れ際 お礼と差し出す 義理チョコに 嬉し恥かし 年甲斐もなく」   

 

 

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shin-1さんの日記

○大学の授業①

 この5年間、毎週水曜日の午後6時から2時間、決まって私のスケジュールにセットされ続けてきたのは大学の講義でした。何の見識も持たない私に、ましてや高校しか出ていない私に、「大学の教壇に立たないか」と大学の先生から声がかかったのは今から6年前の夏ごろでした。当時は役場の地域振興課長を拝命して、まちづくりの第一線に立っていたこともあって、「幾らなんでもそればかりは」と最初は辞退しましたが、まちづくりの実績を評価されての強い要請だったので、恐れながら引き受けることにしました。しかし私が幾ら引き受けても任命権者である町長の承諾がなければ出来ないため、町長に直訴をしてしまいました。多分駄目だろうと半信半疑だった私に、懐の深い町長さんは「仕事に穴を開けない」約束でOKを出してくれたのです。ところが授業のカリキュラムが既に組まれた年明け早々私が教育長に就任することになって、その後辞退したものの動き出した船を止めることは出来ず、結局お忍びで始める事になったのです。

 大学へは単発でお話しに行ったり社会教育主事講習の講師を務めたりした経験はあるものの、学びのシステムを飲み込むことが出来ず、最初は戸惑うことが多かったのですが、大学授業のアバウトさにも慣れて独自の授業構成を編み出して、それなりの評価や実績が出せるようになり今日まで続けて来たのです。それでも年間60時間の授業を組み立てることは中々骨が折れ、この仕事の奥の深さを痛感しているこの頃です。

 私は愛媛大学法文学部総合政策学科非常勤講師という肩書きで教壇に立っています。春になると対象となる夜間主の学生全員を集めてガイダンスが行われ、講師陣がそれぞれ自分の講義の魅力について話すのです。いわば学生の分捕り合戦で、学生はそれぞれの講師の話を聞いて自分の学びたい分野を選択しカードに第一希望から第三希望まで理由を書き込むのです。このカードが先生たちによって第一希望を優先しながら分類され振り分けられて授業が始まるのです。例年ながら私を希望する学生は多くて、全ての要望には応えられませんが、それでも私を選んでくれたいとおしい学生たちに囲まれて、楽しい授業が続けてこられたのです。

 私の授業はフィールドワークなので、県内の先進地と目されている場所へ盛んに学生を連れ出して、目や肌で現地の雰囲気から学ばせるよう心がけています。県内外から集まった学生にとって他市町村へ行くことなどほとんどないため、地域を調査研究といいながら市町村を巡ることはとても新鮮で熱心に学びました。

 今の学生は授業に来ているのかアルバイトに来ているのか分らないとか、授業中に私語や携帯をするとか聞いていましたが、私の教室に限って言えばそんな学生は殆どいませんし、礼儀も正しい25人前後の学生が在籍してこの5年間いい雰囲気の学習を続けて来れました。

 私にとってこの5年間はあっという間に過ぎ去りましたが、まちづくりに深く関わっているつもりでもまちづくりの現場に若者の姿は余り見ることが出来ないため、学生から逆に沢山の事を学びました。若者の意識と行動、若者とまちづくり、若者対策など5年前の私にはなかったワールドが広がっているのです。

 人は意識してその世界に入り込まないと自分の価値観が損か得か、好きか嫌いかだけの判断でしか選べないのです。損しても嫌いでもその世界に入り込む勇気が必要なのです。正直言ってこの歳になって40歳以上も年齢差のある人との気力・体力・知力の偏差ギャップは歴然としていてきつい仕事です。でももう少し心の若さを得るために努力してみようと思うこの頃です。

  「石の上 早くも五年 過ぎました 若さ学んで 老いがストップ」

  「水曜日 来るのがどこか 待ち遠し ワクワクしつつ 裏口入門」

  「先生と 呼ばれて返事 しない俺 も一度先生 われ振り返る」

  「四十八 瞳キラキラ 輝いて 俺の瞳も 輝き増しつ」


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