人間牧場

〇農業自営者養成研修会

 愛媛県教育委員会高校教育課から依頼があり、人間牧場で高校生の自営者養成研修会を引き受けることになりました。毎年夏休みを利用して県内の農業高等学校生徒がやって来るこの事業で、果たして何人の高校生が自営したか、その成果は聞いていませんが、農業の置かれている厳しさを考えれば大切なことなので、1時間ばかりの短い時間ながら、しっかりと高校生に向き合ってレクチャーしました。

高校生の研修会

 2人の先生に引率された16人の高校生は、上の市道までマイクロバス、その後は急峻な山道を歩いて人間牧場までやって来て、ほぼ時間通り始めました。昨日は二宮金次郎の至誠・勤労・分度・推譲という四つの教えについて、掲額や金次郎銅像を見せながら、経済と道徳の話をしましたが、先日ギノー味噌の田中社長さんからいただいた岡田幹彦著「日本の偉人物語「二宮尊徳・坂本龍馬・東郷平八郎」という立派な本を、一人ひとりに差し上げました。

ギノー味噌の田中社長さんからいただいた二宮尊徳の本を持って記念撮影

 活字離れのする昨今ゆえ、高校生たちが読んでくれるかどうかは疑問ですが、二宮尊徳は600もの風水害や冷害にあえぐまちや村を復興した「復興の祖」なので、その精神をこれから関わるであろう農業で生かして欲しいと願っています。明治維新の革命が起こったとき、この混乱の中で農村をリードしていく報徳思想が、原爆が落ち終戦を迎えるまでの77年間も、日本の農村の心を支えました。それから日本人は物や経済や、工業を豊かにせねばと割り切ってアメリカを見習い、報徳を忘れ、道徳を止めて今日まで72年間が経ちましたが、今日本では様々な問題が起こり始めています。

 明治維新から終戦までの77年と同じ年月ならば、終戦から後5年もすれば日本は77年を迎えますが、後5年を次の77年のプロローグとして日本の農村を、いや日本の国づくりを報徳思想に焦点を合わせ、心の入れ替えと道徳を考え直す必要があるようです。人口が減り高齢化し、空き家や耕作放棄地が目立ち、自然災害の頻発するこの国を本当の意味で作り変えなければならないと思っています。その基本は基礎集落圏域をしっかりと守る村づくりです。高校生がそんな理想の火を心に持って生きて欲しいと願っています。

  「農業の 自営者目指す 研修会 今年も牧場 高校生が」

  「豊かには なったけれども あれこれと 問題多い この国憂う」

  「歌にある 手本は二宮 金次郎 経済だけじゃ 世の中可笑しく」

  「むらづくり 自分づくりが 大事だと 口角泡を 飛ばし力説」

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