〇まるでローカル放送局みたいな人
私の住んでる田舎には色々な人が住んでいます。中でも私より少し年上の女性で、町内のことだったら「この人に聞いたら分かる」と言われるくらい、地域の話題をよく知っている人がいます。それもそのはずで、車に乗れないためマイピアで朝から晩まで仕事もせず、あっちへ行ってはお喋り、こっちへ行ってはお喋りの連続の尻軽さで自ネタを仕込むのです。
私ももう20年前この人の餌食に会いました。「あら若松の進ちゃんじゃない」から始まり、「あんたガンで入院していたそうだが、どこのガンじゃったんぞな」と唐突に話しかけられました。「私は入院をしてはいたもののガンではありません。その話誰から聞いたの?」と切り返すと、「あんたが知らないだけで『若松の進ちゃんはどうもガンらしい』とみんなが噂しよる」と言うのです。「ところでどこのガン?」と問い返されました。「おばちゃん、本人を目の前にしてどこのガンかは聞かない方がいいよ」とたしなめました。
「進ちゃんのことはには言わないようにと、聞いた人から釘を刺されていたのに言うてしもうた。ごめんなさい」「ふつう私は口が堅いほうなのですが・・・」と平謝りに謝まられましたが、「自分で言う程口は堅くない」後の祭りに大笑いをしました。昨日久しぶりに出会いましたが、そんな昔のことなどケロリと忘れ、今日も「あの人は若嫁と仲が悪い」とか、「あの人は認知症がひどくなり少々可笑しい」などなど、他人の噂話をいっぱい聞かされました。この人のことを近所の人は「ローカル放送局」と呼んでいて、「あの人の話は半分嘘」というレッテルが張られているようです。聞いた話をうかつに人に話すととんでもないことになるので、今日おばさんから聞いた話は「聞かなかったこと」にしておきます。