〇昔の花嫁道具木製のタライ桶
私たちが子どもの頃はまだ各家庭に洗濯機が普及してなく、母や祖母はタライと洗濯板で洗濯をしていました。今考えると何とも長閑な時代でした。その当時女性がお嫁に行く時はタンスや下駄箱とともに、木製のタライ桶も嫁入り道具の一つだったようです。
先日知人の家が新築をするため古い家を取り壊しました。その家は旧家ゆえ色々な古い家財道具が出てきたものの、今の時代には無用の長物なのでその殆どはゴミとして処分されたようです。その家財道具の中に、奥さんが花嫁道具としてお嫁に来る時持って来たという3段重ねのタライ桶がありました。奥さんは思い出の品だけに捨てるのも勿体ないと思い、古い民具に興味のあると思われる私のことを思い出し、「もしよかったら貰ってくれない・・・」と小声で連絡が入りました。
私自身も、妻「もう歳だから死んだ後のことを考えないと・・・」、息子「何でも集めないように・・・」と日ごろからやんわり釘を刺されているので、少し躊躇する姿を見せましたが、昨日聖カタリナ大学の講義を終えた帰り道、電話のあった奥さんの所を訪ね、かなりほこりを被った三段重ねのタライ桶を貰い受け、自家用車の後部座席にナイロンを敷いて持ち帰りました。
ほこりを被ったタライはタガの竹輪っかが外れていたので、樫の木の棒を短く切って、金槌で丁寧に叩いてタガ竹輪を締め直しました。半世紀も倉庫にしまい忘れていた古いタライ桶にしては、殆ど使っていないので水垢もついておらず、タワシで丁寧にで水洗いしたら、展示に耐えうる立派な杉正目のタライ桶が見事に蘇り嬉しくなりました。さてどこへ収納展示するか?、今のところ自宅横の海の資料館海舟館の空きスペースもなく思案中ですがワクワク・ドキドキしています。
「タライ桶 昔は立派な 花嫁道具 今は無用の 長物なりて」
「家壊す このままゴミは 忍びない 私の顔を 思い出したと」
「妻・息子 使わない物 集めるな いつまで生きる つもりとやんわり」
「タガを締め 水洗いして 陰干しし 収納品が また一つ増え」