〇乳出のイチョウ
昨日いつもお世話になっている藤原さんに、人間牧場近くの地元で採れたブドウを分けてもらい届けに出かけました。松山の郊外に住んでいる藤原さんは年齢が90歳ながら、家では年中靴下を履いたことがないというほどすこぶる健康な方で、ご夫婦ともどもの穏やかな暮らしぶりは、いつも見習いたい気持ちになっています。
藤原さんは元県庁職員として活躍されていましたが、退職後の今も護国神社の裏にある万葉苑保存会の常任理事を務めるなど博学で、そのご縁もあって昨年万葉苑で拾い集めたドングリの実を貰い、庭の隅でプランターに蒔いたところ、殆ど芽が出てクヌギの苗木がスクスクと育っていて、令和と元号が改められたのを機に里山運動に目覚めた私たち親子の後押しをしてもらっています。
私が主宰する21世紀えひめニューフロンティアグループに長年経済的援助をいただいている、関奉仕財団の関さん(御年99歳)と結んでもらっているのも藤原さんのお陰で、足を向けて寝れないほどの恩人なのです。帰り際藤原さんが寄稿している「護国」という神社社報をいただき、興味深く読ませていただきました。
寄稿文に書いていた内子町小田中川の「乳出の大イチョウ」や新居浜市瑞応寺のイチョウの大木を見たことを思い出しました。特に小田の乳出の大イチョウは幹や枝から鍾乳石状の下垂物が垂れ下がっていて、この乳房のようなものは潜伏性の短枝や不定芽で、主に雄株に栄養分が蓄積され出来るそうです。雌株は銀杏として種子に栄養分が行くためできにくいことも知りました。
藤原さんは万葉苑にもある乳出のイチョウを見て、万葉集に詠まれている二首の「ちち(知智・知知)」の歌を紹介していますが、歌人大伴家持の「防人が悲別の情を陳ぶる歌」についても詳しく解説していました。ちち(イチョウ)の花言葉は「鎮魂・静寂・荘厳・長寿」です。護国神社の神木は「心木」でもあるようで、いい学びをさせてもらいました。
「90歳 今なおかくしゃく 見習って 生きて行きたい 恩人夫婦」
「万葉苑 拾い貰った ドングリも 殆ど発芽 クヌギ苗木に」
「いただいた 社報寄稿の 文を読む 乳出のイチョウ 三嶋神社に」
「万葉集 ちちに関する 二首ありて 大伴家持 防人詠む歌」