〇田植えの時期を迎えました
日本一の裸麦の産地である愛媛県中予地方では、少し郊外に出ると黄金色の裸麦畑が一面に広がって、初夏なのに「麦秋」の季節を迎えています。裸麦で思い出すのは小さい頃、わが家でも山の段々畑で裸麦を栽培していて、よく手伝わされました。当時は脱穀機もなく、鉄の長くて鋭い櫛状の「せんば」という道具で麦の穂をそぎ落とし、広く敷いたムシロの上で狩竿を使って、バッタバッタと叩いて麦粒を落としていました。
麦わらは畑に植えたスイカの下に敷き藁として使われ、無駄なものは一つもない循環型農業でした。私たち子どもは麦わらで麦笛やストロー、野イチゴを積む麦わら籠を作ったりして遊んでいましたが、かまぼこの材料を麦わらで簀巻きし渦潮をイメージした鳴門巻きも、今はビニールにそな座を奪われてしまいました。麦が熟れるといよいよビワの季節を迎えます。今時のように市販の袋ではなく、新聞を切ってご飯粒の残りで炊いた糊を使って袋を作り被せたビワの味も、やはり少年の頃のよき思い出です。
ホタルが飛ぶといいなあ
田植え事情も最近は激変です。田植えの時期は6月でしたが、私たちの地方では5月の今が最盛期で、土日百性のため土日ともなると、育苗センターで育てられた苗を積んだ軽四トラックが走り回り、4条~5条植えの田植え機が、まるでミズスマシのように軽やかに苗を植え、腰をかがめることもなく、土に汚れることも少なく、あっという間に田植えは終わるのです。田植えが終わるとそろそろホタルの季節です。昨年7月の豪雨の影響が心配ですが、今年も来月第一土曜日には翠小学校を会場にほたる祭りが行われる予定です。
「熟れた麦 麦秋なると 思い出す 麦わら使い 編んだり笛に」
「その昔 腰をかがめて した田植え 今は田植え機 乗った兄ちゃん」
「俳句季語 田植えは6月 はずだった 今は五月と なりて戸惑う」
「スーパーの 店先早くも ビワ並ぶ そんなに急いで どこへ行くのか」