人間牧場

〇顔は悪いが目は良い

 先日私より二回りも若い(58歳)友人Sさんに10年ぶりに出会いました。彼は背は高く顔もハンサムで、まるで石原裕次郎を髣髴するような男前だったと記憶していましたが、私の前に現れたSさんは、屋根(頭)が少々傷み(薄禿げ)白髪交じりでメガネをかけ、かつて女性に大もてしたことが信じられないようなまるで別人のようでした。

 会うなり、「若松さんは昔とひとつも変わりませんね」とお世辞を言ってくれました。「私はご覧のように禿げに白髪、加えて目は老眼で、メガネ無しでは仕事ができません。先日も自宅で新聞を読もうとしてメガネを探しましたが、見当たらず近くにいた妻に、『メガネを知らないか?』と訪ねると、『まあいや~ね。あなたの頭の上にあるじゃない!!』と、夫婦で大笑いしました。まるでお笑い落語の世界でしょう。」とのことでした。

 「ところで若松さん、あなたはメガネなしですか?」と尋ねられたので落語調で、「私は若い頃から顔は悪いが目は良いと自慢していて、目は私の自慢の一つです」と返しました。私の目の良いのは母親の遺伝子かも知れません。80歳で亡くなった母は死ぬまでメガネをかけず新聞を読んでいました。私は72歳になった今でも裸眼で新聞が読めるのですからこんな嬉しいことはありません。

 「目利き」「目配り」「目の付け所」「目釘」「目分量」「お目に叶う」「目くじら」「目の高さ」「網目」「目測」「目的」「目学」「目白」「目抜き通り」「金目」「大目玉」などなど、目のついたことばも以外と多いようです。親から貰った良い目を大事に使って、これからもしっかり生きていこうと思っています。

  「羨ましい 思っていたが 10年も 経てばそれなり 普通の人に」

  「俺メガネ 何処へ置いたか 分らない 頭の上に あること忘れ」

  「顔身なり よりも目が良い 方がよい メガネ買う金 要らないだけでも」

  「目がいいは 母親遺伝 かも知れぬ 72歳 裸眼で新聞」

 

 

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