〇あなたどう思います(その②)
私に「あなたどう思います?」と言った友人は、妻の言うことも一利あると、夫婦揃って自分の家の菩提寺へ相談に行きました。「ペットと一緒にお墓に入りたい」という申し出に和尚さんは、顔を曇らせ「人間と畜生を一緒のお墓に入れることはできない相談だ」と説教しました。妻は自宅へ帰ってから、らちがあかない夫に相談せず、インターネットでペットと一緒にお墓に入れる宗教を探したそうですが、世の中にはそんな悩みに応えてくれる新興宗教もあるようで、数日後パンフレットが送られて来たようでした。
既に老域に達しているこの歳になって、妻と離婚することだけは避けたいと思う夫は、妻に届いたパンフレットに記された他県のそのお寺を訪ねる旅に2人で出かけたようです。その道中でこれまでの2人で歩んだ人生を振り返り、「今の自分の心を一番理解してくれているのは生後13歳になる同居の犬だけ」だと吐露する妻に、夫は深く詫びました。お寺の門前で山門をくぐることなく我に返って引き返したようでした。13歳になった愛犬も数日前に亡くなりましたが、愛犬は最近流行のペット霊園に埋葬し一件落着となったものの、奥さんはペットのお墓に入ることもできずこの件は一応一件落着となりました。
ペットフード協会のまとめた犬猫飼育実態調査によると、わが国では犬は991万7千頭、猫は987万4千頭、合計1,979万1千頭が飼れています。犬の平均寿命は14.85歳、猫の平均寿命は15.75歳だそうです。犬猫を飼っている人にとってペットは、「生活に喜びを与えてくれる大切な存在」であり、「健康面及び人と人をつなぐコミュニケーションにおいても重要な存在」などの効用があるようです。日本の約15%の家庭がペットとして犬猫を飼っている実態を思うと、人間よりはるかに飼い主に従順な癒しペットは、飼わない人には分らない奥の深い存在のようです。犬猫の病院、犬猫の美容院、犬猫のペットフード店、犬猫のホテルと、現代は生類哀れみの令を出した五代将軍綱吉もびっくりするようなペット社会になっています。世の中ある意味平和です。
「死んだ後 ペットと一緒の 墓望む 奥さん言い分 分る気がする」
「パンフ見て お寺を探し 旅に出た 山門くぐる 一歩手前で」
「行き着いた 答えは元の 鞘でした 目出度くもあり 目出度くもなし」
「綱吉の 生類哀れみ 髣髴と するよな社会 ある意味平和」