〇セイタカアワダチソウ
日中は23度近くまで気温が上がり、多少異常気象ではないかと思われますが、野山には秋の七草も咲き揃い、いよいよ秋本番です。秋といえば何といってもススキです。青い空をバックに風に揺れるススキは、秋の風情を存分に感じさせてくれますが、散歩コースのあちこちの空き地にはこの時期になると、黄色いセイタカアワダチソウもススキと競争するように咲いています。
セイタカアワダチソウは帰化植物の一種で、外材輸入の落とし子ともいわれていますが、公害雑草のレッテルを貼られているので観賞する人もなく、ましてや繁殖力が旺盛であっという間に蔓延るため嫌われ者です。ひところセイタカアワダチソウが至る所に蔓延って、このままでは日本の空き地はススキに変わって、セイタカアワダチソウに占拠されてしまうのでは?と心配されていましたが、最近雲行きが少し下火になった感じがしています。聞く所によるとセイタカアワダチソウは1平方メートル100本、500万個の種をつけるそうです。
根から毒素を分泌して、他の雑草を枯らして自らの領地を拡大する繁殖力は抜群ながら、地表から下50cmの肥料分を吸収するため、繁殖したセイタカアワダチソウは地表の肥料分を食べ尽くすと生きられなくなり、自滅の道を辿るのだそうです。ゆえに周りのススキが反撃するという植物戦争が、私たちの知らない自然の中で行なわれているようで、脅威と思っていた心に少し安心感が漂いました。
私が公民館主事だった頃、始めてセイタカアワダチソウの花を見て綺麗だと思い、松前町の空き地に群生していた黄色い花を、地主の了解を得て軽四トラックいっぱい持ち帰り、文化祭のシンボルとして町章モニュメントを作って飾ったことがありました。文化祭が終って片付ける時、この花が公害草の指定を受けていることを知り、笑い話にも似た大恥をかいたことが思い出されます。「無知によって生ずる不幸は知ることによって避けられる」のでしょうが、今となってはほろ苦い思い出話です。
「七草と 見紛うほどの 美しさ セイタカアワダチ 公害指定」
「七草の ススキと空き地 せめぎ合い どっちが勝つか 残った残った」
「肥料分 食べ尽くしたら 自滅する ゆえにそれ程 増えぬ安心」
「無知だった 昔の思い出 蘇る セイタカアワダチ 見る度赤面」