〇戦後の記録は面白い
一昨日私が所属している双海史談会の6月定例会が、地域事務所2階の会議室で開かれました。事務局の中尾さんから届いた通知を見て、前回の総会で私が副会長になったことをお粗末ながら初めて認識しましたが、今回は武智利博先生が、戦後間もない昭和24年から発刊されていた上灘町文化協会弘報を、「上灘文化協会広報集成」という一冊の本にしているものを、みんなで素読するというテーマでした。
当時の地方自治体である上灘町には、今でいう行政広報なるものはなく、またこの弘報が発刊し始めたこの頃は、戦後間もないこともあって、アメリカナイズな民主主義による新しいふるさとづくりが模索され始めた時期でもあり、今の公民館の前身である文化協会の果たした役割は大きかったようです。さて中尾さんが資料としてコピー印刷してくれた資料の中身は中々面白く、少し時間をかけて読みたくなるような内容でした。
例えば面白いのは~昭和24年3月1日発行のP8の「◎ラヂオ放送!!」という記事です。
こちらは上灘町文化協会自然科学部物象諜であります。
町民の皆様お宅のラヂオには故障がありませんか?
あら金ちゃんの御家にはラヂオが無いの、気の毒ねでは文化協会の方からお父様におねがいして買ってもらうことにしよう。「よしよし、そんなに易く買えて後の責任をもって下さる御店が本町にあるとは知らなかった、ラヂオは必要だと言う事はわかっていたが・・・・でが月賦三回拂で・・・・・おまかせします」
近代的なよくわかったお父さまですね。「森田のおっさん居られますか」
いよいよ上灘駅前松山中央放送局指定の森田ラヂオ店を訪れました。店頭には新しいラヂオが山ほどつんであります。「矢張りおすすめしたいのはマグネチックよりは此のダイナミック四球型ですね」
おっさんは上手も何も言わない正直一てんばりの技術屋です。それだけに本町文化向上のため少しでもよいラヂオをおすヾめしたいとの熱意にもえて居ます。
青年技手二名を引きつれて下灘、上灘、中山の三ヶ町村のラヂオ相談の責任者としてその技術を十分に発揮されています此の店、此の技術を大いに利用してラヂオの普及をはかりましょう。
ラヂオのある家明るい家族ラヂオ囲んで坊やも踊る 上灘駅前 森田ラヂオ店 松山放送局指定
いやあじつに面白い、しかも長閑な田舎の風情ではありませんか。テレビも無い戦後間もないラヂオさえもまだ普及していない時代の明るい話題に感心してしまいました。
「史談会 戦後間もない 弘報を 思い起こしつ 振り返り読む」
「テレビない 時代のラヂオ こんな風 駅前の店 跡形もなく」
「昨日今日 変化気付かぬ ことばかり 70年は 驚く変化」
「広報を 弘報と書く 面白い 誤植じゃないか 見紛うほどに」