〇親父の元気は私の元気
寒かった冬が去り、春も急ぎ足で駆け抜けました。隠居に取り付けたエアコンのお蔭でしょうか?、冬から春にかけて96歳の親父は一度も風邪を引かず、確実に衰えや認知は進んでいるものの、まあそれなりに暮らしています。親父の世話はもっぱら妻の役割でしたが、パンパースが必要となったため、その役割やトイレの掃除などはもっぱら私の仕事になっています。
この2~3日外の陽気に誘われたのか、親父がまるで蓑虫のように隠居の部屋から外に出て、敷地内を散歩するようになりました。杖をつきまるでロボットが歩くような出で立ちで歩いていますが、昨日は何を思ったのか朝早い5時頃から、庭木の剪定をし始めました。私が若い頃山取りして育てたクロガネモチの木は、かなり大きくなって畳2畳、しかも4段に刈り込まれていますが、杖がないと歩けない親父が、何と何と大きな鋏で一時間もかけて剪定をしてくれました。
その間、薮蚊やブトが顔や首筋を刺されたのが分らないのか、所々赤く腫れてうっ血も見られ、かゆみ止め虫刺されの薬を塗ってやりました。「蚊やブトもわしの枯れたような体を刺しても美味しくなかったのでは?」と、冗談を言っていました。昨日はディサービスに行く日だったので、9時に迎えの車に乗せて見送りました。剪定屑を熊手で掃いて片付けましたが、キャリー4杯もある枝や葉っぱを片付けながら、いやはや大きな驚きを禁じ得ませんでした。庭の辺りを見渡すと、松の木の剪定や庭の草引きもいつの間にか終えていました。
親父は信じられないことを時々やります。前日も隠居の台所の水道栓を締め忘れ、半日も垂れ流しにしたと思えば、自分の杖が少し短く感じたのか、杖の先に5cmほどの木を削って差し込み、起用にもまるで玄人のようなこともやります。でも去年と今年では確実に老いの速度が進んで、世話がやけるようになりました。在宅介護の難しさを感じながら、わが行く道と肝に銘じつつ、これからも面倒を見ようと思っています。
「わが身すら やっとの親父 庭に出て 庭木剪定 驚きました」
「蚊とブトに 刺されて赤く 腫れ上がる 薬を塗って 作業に感謝」
「わしの血は 吸っても美味く ないだろう 冗談言いつ 明るく振る舞う」
「在宅で 介護するのは 難しい できることしか できぬもどかし」