〇ヤブツバキの花の散る頃
私の住んでいる双海町は、北に伊予灘の海が広がっていますが、その気候風土がヤブツバキに合っているのか、野山に分け入ればそこここにヤブツバキの木があって、この時期になると、真っ赤な花を咲かせていますが、平凡ゆえ花を愛でる人もなく、ひっそりと咲き、ひっそりと花を散らすのです。特にこの時期に椿の木の下をを通ると、真っ赤な花が地上にそれは見事に並んで落ちていて、「ワア~綺麗」と思わず叫びたくなるような風情です。
わが家の裏山にもヤブツバキの大きな木が、庭に覆い被さるように立っていて、無数の花が咲いていますが、昨日蜜蜂の巣箱を設置するため小路を通ると、まるで人間が人為的に並べたように、ヤブツバキの花が地面を彩っていました。あわや踏みつけて通るところでしたが、早速タブレットを自宅から持ち出し、写真を2~3枚撮りましたが、見上げたヤブツバキの木から、偶然にも一つの花が落下する瞬間に遭遇しました。秒速5mの速度で落ちてきた花を見れるとは、何という偶然でしょう。
ツバキは首からポロリと落ちるので、忌み嫌う人もいるようですが、落ちた花を楽しむ気があればこれもまた一趣です。落ちていないツバキの花を摘み取って、透明な少し広めのグラスに水を入れ、その中にツバキの花を浮かし、水中花として楽しむこともできるし、その気になれば楽しみ方は色々です。冬の花ながら春先のこの時期に、折角咲いた野の花をもっと楽しみ、日々の暮らしに詫びや寂びといった日本の文化ともいえる、彩りを添えて暮らしたいものです。
「裏山に ヤブツバキ花 咲き揃い 地面に落ちた 花また一趣」
「口紅の ような椿の 赤い色 似合いの女性 頭に描く」
「頭上より 落ちる椿の 姿見る こんな瞬間 またと見られず」
「春が来た 冬の名残を 引きずって ヤブツバキの花 そろそろ見納め」