人間牧場

〇私の愉快な仲間たち

 私は自分ではまともな人間だと思っていますが、私の仲間に少し毛並みの変わった人が多くいることから推し量ると、自分自身も人から見れば少し変わったように見えるのかも知れないと、仲間に接しながら少しだけ納得しています。
 昨日は偶然にも近畿大学出身のお二人が私の所へやって来ました。一人は最近「近大マグロ」でとみに有名になっている、水産学科出身の玉井恭介さんです。玉井さんは私の母校宇和島水産高校の先輩で、広告代理店セーラー広告の部長時代、私が自費出版した「昇る夕日でまちづくり」という本のお世話を、アトラス出版とともに手助けしてくれた恩人です。「街道をゆく」の作家司馬遼太郎さんの奥さんとも親交があり、まあ歌は歌うわ、文章は画わ、絵を書いたり陶芸はしたりするなど、何にでも興味を示す多芸に富んだ人なのです。玉井さんは昨日奥さんと娘さんを伴って人間牧場へやって来ましたが、奥さんも娘さんも人間牧場は初めてとあって、道中の道の狭さや急峻な地形、見事な眺望にすっかり驚いた様子でした。

人間牧場を訪ねた玉井さんご一家
人間牧場を訪ねた玉井さんご一家

 一方もう一人の近畿大学農学部農芸化学科出身は、八幡浜市日土の清水和繁さんです。清水さんはJA農協職員ですが、えひめ地域政策研究センターへ5年間出向してまちづくりに携わっていた頃知り合いました。その後意気投合して人間牧場で開塾した、年輪塾の塾頭をお願いしたところ快く引き受けてもらい、以後伊予市役所の松本宏小番頭とともに、年輪塾の運営を中心的にやってくれている人です。パソコンや歴史にも造詣が深く、特に年輪塾二期目の二宮金次郎では「尊徳翁夜話」二百三十二話を読み解いて解説し、ネットで塾生に全てを配信して自己学習をいざなってくれました。
 清水さんは既に役職定年を迎えて一度退職していますが、再雇用に見切りをつけ今年度いっぱいで40年余りの農協生活にピリオドを打つのだそうで、もう1週間もすれば私と同じ自由人、サンデー毎日になるので、昨日はあいさつに来られ、魚吉で昼食を食べながら、先輩自由人として助言をしました。

JAを退職して自由人になる清水さん
JAを退職して自由人になる清水さん

 私は35年間役場に勤め、毎日のように先輩、同僚、後輩と机を並べて仕事をしてきました。しかし職場を退職すると、先輩や同僚とはむしろ疎遠になり、今現職の後輩とも出会いや付き合いは殆どないのですから、不思議といえば不思議です。ところが玉井さんや清水さんとは仕事ではない個人的な付き合いながら、兄弟姉妹以上に気心が知れて、何でも相談し色々な活動を一緒にしています。多分これから先もその親密な関係は続くものと思われますが、人間関係はだから面白いのかも知れません。
 人は現職のころ役職肩書きがついたり名刺を持てますが、肩書きも名刺もなくなり自由人になると、何かにつけて不自由が待っています。退職して10年、「自由は不自由」が私の正直な実感です。でも、肩書きも名刺もなくなった時何が残るかで、人の値打ちは決まるのです。値打ちは自分で決めるものではなく、人が決めるものだから、人に必要とされるような値打ちを持つよう、これからも努力したいものです。

  「私には 変った仲間 多くいる ゆえに私も 変っているかも?」

  「近大の 水産学科 今マグロ 有名になり 多少戸惑う」

  「JAに 40年間 勤めてた 農協マンも この春自由」

  「自由人 誰しもみんな 憧れる まもなく不自由 なると思うと」

 

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