〇ギンモクセイの咲く学校
2~3日前、わが家の無線有線室内放送から、時ならぬお知らせ放送がありました。「翠小学校の市指定天然記念物ギンモクセイが咲き始めたのでご希望の方は見に来て下さい」というのです。翠小学校の校庭にギンモクセイがあることは知っていますが、いつ咲くのか知らない人も多いので、放送を聞いた人の中には出かけた人も多いのではないかと思われます。現役学校に不審者が侵入する世情の中、防犯目的で門扉を閉じて校内に人を寄せ付けないのに、よくぞ放送してくれたと大いに驚き、早速人間牧場の草刈り作業を終えたそのままの姿で出かけてしまいました。
校長先生と教頭先生はあいにくお留守でしたが、薄汚れた不審者と見紛うほどの私を見ても、対応に出た先生は私の顔を知っているので驚かず、色々と説明をしてくれました。私は役場に勤めた駆け出しが教育委員会勤務だったので、昭和45年ごろからこれまで44年間、このギンモクセイを見続け、天然記念物指定にも関わりましたが、一年一年の変化はそんなに感じないものの、最初に見た頃から比べると随分大きくなって、「この木何の木気になる木」のコマーシャルではありませんが、今や現役木造校舎としては愛媛県で一番古い学校のシンボルとして、威風堂々二宮金次郎像、蘇鉄とともにしっかりと役割を演じているのです。
ギンモクセイの花の香りは金木犀の花に比べると少し弱く感じますが、その分気品が漂い何ともいえない日本独特の、淡い香りを漂わせる香木なのです。花は今が満開でこれから1週間は楽しめるようですが、花を散らし地上に花を振り撒いた姿もおつなものなので、願わくば一週間後に再びその姿を見に出かけようと思っています。翠小学校のギンモクセイの花の香りは風向きによっては、周囲一キロメートルまで届くと言われています。鼻の効かない私には嗅ぐよしもありませんが、児童数16人の小さな山間の学校の存在感を示すギンモクセイが香り終ると、私たちの地方では一気に秋が深まるのです。
「見に来てと 有線放送 ギンモクセイ 入口黒板 香りいざなう」
「半世紀 近く見続け あらためて 香木すっかり 大きくなりて」
「木造の 学校シンボル 色々と あり過ぎるほど 自慢のものが」
「ギンモクセイ 周囲に木柵 お目見えし 化粧直を しているようだ」