〇雪の九重町脱出劇(その4)
福元屋で朝食と支払いを済ませ、玄関先や谷底の様子をデジカメで撮ったりしながら待っていると、役場の佐藤さんという若い素敵な女性職員が、午前7時きっかリ宿まで迎えに来てくれました。宿の女将さんに別れを告げて雪の坂道を上がると、雪かきに余念のないご主人に出会いました。今度の雪は余り記憶にないほど近年にない大雪のようだと話をしていました。
役場の公用車は小回りの効く軽四箱バンタイプでした。後ろの席に座り早速5時間後の11時に到着するよう時間的余裕を持って佐賀関へ向け出発しました。
雪道に行く手を阻まれ、立ち往生した何台もの車に行く手を阻まれ、またノロノロ運転の車に行く手を阻まれ苛立ちを感じながら、運転する佐藤さんに身を委ね色々な世間話に花を咲かせながら、国道210号線を走りました。高速道路は全て雪による通行止めが続いていたので、早く走る手立てもなく、いつか来た見覚えのある風景を思い出しながら車窓を眺めていましたが、竹薮の竹は春先特有の重い雪に頭を下げ、並行して走る線路沿いに覆い被さるように垂れ下がっていました。大分市内に近づくにつれ道の雪も少なくなって車のスピードが上がり、このままだと何とか船に間に合うようだと、少し安心して午後開かれる研修会の打ち合わせを携帯で行ないました。
ところがその後思わぬ落とし穴が待っていて、国道10号線に入ると一転、雪装備していない車で渋滞しまったく動かなくなってしまいました。佐藤さんは自分のスマートフォンを使って友人のナビを受けながら、この難局をどうしたら脱出して時間通り目的地に着けるか、気を揉みながら国道を逆走して進み、やっとの思い出佐賀関に到着しましたが、10分ばかり前に船は時既に遅しで出航した後でした。佐藤さんに「遅れてすみません」と謝られましたがとんでもない話で、佐藤さんにはどれ程の心配や苦労をかけたことでしょう。一人で来た道を引き返さなければならない佐藤さんの身を案じながら、佐賀関港でお別れしました。
佐賀関には私の親友渡邊又計さんがいます。佐賀関のフェリー乗り場から電話をかけてましたが、運よく自宅にいたため早速出会い、渡邊さんの車で近くの道の駅へ出かけ、美味しい関アジ、関ブリの定食を食べながら積もる話をしました。渡邊さんは再雇用も終えて、今は私と同じサンデー毎日の日々を奥さんと二人で、畑仕事に精を出しているようでした。渡邊さんは趣味でカメラやパソコンをやっています。私のブログも毎日のように読んでいて、何度か私のブログ1年分をCDにダビングして送ってくれたりするほどの技術を持っているのです。積もる話は山ほどあって、あっという間に時間が過ぎ、フェリーの時間が近づいたので港まで送ってもらい分かれました。私にとっては午後の会議に間に合わなかったものの、むしろ人間性を回復するいいカルチャーショックだったようです。佐藤さん、そして渡邊さんありがとうございました。
「雪深い 山坂越えて 辿り着く 港辺りは 大風吹いて」
「船に乗る 時間に遅れ 午後会議 欠席連絡 むしろ良かった」
「雪道を 難儀をしつつ 港まで 送ってくれた 女性見送る」
「ハプニング 出会いのお陰 親友と 久々積もる 話ができた」