人間牧場

〇二つのことで感心な息子

 わが息子を誉めるのは一の馬鹿かも知れませんが、いつも感心していることが2つあります。まず一つはわが家のトイレの掃除です。わが家には1階に1ヵ所、2階に1ヵ所、隠居に1ヵ所、私設公民館煙会所に1ヶ所と合計と4ヶ所もトイレがありますが、1階と2階のトイレは大体1週間に1回程度息子がピカピカに掃除をしてくれているのです。同居を始めるため家を設計士をしている息子の設計で大改造した折、「トイレは文化だ!!」という息子の言葉に諭されて、わが家には似つかわしくないような立派な全自動のトイレを設置しました。金を出すのは親、使うのは自分たちという少し身勝手な息子の発案による大改造に、思わぬ出費がかさんでしまい気を揉んだ妻の財布心配を他所に、トイレに入れば自動的に蓋が開き、用を済ませるとウオッシュレットで洗ってくれ、自動的に流れるトイレは息子が言う「トイレは文化だ」通りの快適さです。

 大改造を終えて息子たちと同居を始めて3年になりますが、その間息子は自分の発案した1階と2階のトイレ掃除を自ら買って出て、掃除をしてくれているお陰で未だにまるで新品のようなトイレを保持しているのです。最近はトイレの掃除も随分様変わりしていて、拭き掃除の後はゼリーのような香料洗剤を便器に貼り付け、水が流れる度にゼリーが溶けるようになっているのです。「そこまで凝らなくても」とトイレのグレードアップに難色を示していた妻も最近はすっかり気に入って、友人たちに「トイレは文化ですよ!!」などと説得しているのですから世の中は分からないものです。1階のトイレは孫たちも朝夕私たちと共用で使っていますが、幼児ながら汚すこともなく使ってくれています。

 もう一つの感心は、私が採集した蜂蜜を、使っていない畳半畳ほどの小さな自家用サウナを利用して、精製しているのです。昨年私が採集した蜂蜜は20升余りでした。これをパレットに移してサウナに入れ、花粉を取り除いて純度を上げ、水分を飛ばして糖度を85パーセントまで上げるのです。気の遠くなるような作業ですが、息子はインターネットで様々なことを勉強しこの方法に辿り着いたようです。精製した蜂蜜は大小の小瓶に入れて、自家用にしたりお裾分けするのです。これも妻から言わせれば「そこまでしなくても!!」なのですが、「人間牧場産蜂蜜」などと書いたラベルまで作って貼る懲りようです。
 もう間もなく蜜蜂が動き出す春が来るというのに、去年採集した蜂蜜はまだ精製過程なのですが、出来るほど色々な人に差し上げているので、在庫は余りないようで、目下蜂蜜の精製を楽しむといった感じですが、私がミツバチに何度も刺されて孤軍奮闘して採集した蜂蜜なので、いやはやありがたいことで、息子を誉めてやりたい心境です。

  「わが息子 この三年間 一・二階 トイレ掃除を 怠りなしに」

  「妻さえも 今では人に 言い触らす トイレは文化 心が変わる」

  「採取した 蜂蜜せっせ 精製す 瓶詰めラベル 相当凝って」

  「わが息子 誉める親父は 一の馬鹿 それでも誉める 価値ある二つ」

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