〇世にも珍しい色変化する酔芙蓉の花
今年も道の駅ふたみシーサイド公園の斜面に、酔芙蓉の花が咲いています。夏の花といえばヒマワリや朝顔、百日紅の花が有名ですが、晩夏から初秋にかけて咲く花は意外と少なく、この時期に咲かせる花はないものかと色々考えていた頃、私の友人で当時県庁に勤めていた池内清美さんから、高橋治著「風の盆恋歌」という新潮文庫をいただきました。「風の盆恋歌」は越中富山市八尾町を舞台にした小説ですが、その中に「酔芙蓉」という花が紹介されていて、調べてみるとその花は、朝真っ白で、昼ピンク、夕方赤くなるというのです。これは夕日の美しい双海町に似合う花だと直感し、国道のバイパス工事と一緒にシーサイド公園を造る時、その花を植えようと思いましたが、森林組合を通じて探しても当時は中々苗木が手に入らず、注文を受けてから苗を育てるため、三年間待って欲しいという返答でした。
当時国道の沿線緑地帯に植える花の樹種は、伊予土木事務所の担当者から、まちづくりで花いっぱい運動の先頭に立っていた私に一任すると依頼があった頃なので、仕方なく国道の山側斜面に出来た階段式花壇には、普通の芙蓉を植えることにしたのです。土木事務所の担当者は、「ツツジや山茶花なら分るが、芙蓉は草みたいなものだ」と揶揄されたものの、願望を貫き芙蓉を城の鼻全体の花壇に植えて、「芙蓉の小路」と名前をつけたのです。
以来芙蓉は花を咲かせ今日に至っていますが、芙蓉の花の欠点は、害虫毛虫の食害に弱いこと、それに花期が終われば新梢を全て切り落とさなければならないのです。最初の3年間は地元の人に協力を求めても中々出来ないため、私の家族全員が手伝ってくれました。今は駅前から城の鼻周辺の人たちがボランティアで世話をしてくれるようになり、嬉しく思っています。
酔芙蓉はその後苗が届き、私たちが植えましたが、今年も朝真っ白、昼ピンク、夕方真っ赤な蕾と彩を変えて咲き続けているのです。初秋になり北東の風が吹き始めると酔芙蓉の花もいよいよ終わりに近づいてきますが、まだ名残の花が咲いており、澄み切った青空や青い海、茜色の夕日などとともに、変化する酔芙蓉の花を楽しむことができるのです。
今日は台風の余波でしょうか、朝から秋特有の北東の風が吹いて、前日まで30度を越えていた残暑も一転、温度が急激に下がって、陰だと一枚羽織らなければ肌寒く感じるほどになりました。季節はいよいよ秋本番です。
「酔芙蓉 一日三回 色変える まるで酒飲み 男のようだ」
「酔芙蓉 太陽のよう 色変えて 最後は真っ赤 夕日のように」
「酔芙蓉 写真に撮って フェイスにて 紹介したら コメント届く」
「酔芙蓉 思い返せば 色々な ことがあったと 今更思う」