shin-1さんの日記

○庭の草削り

 わが家の庭の手入れは主に92歳の親父がやっています。今は庭木の殆どが芽吹きの頃を迎えているため、作業はもっぱら地上の草引きです。息子の私が忙しくて当てにならないため、親父は陽だまりを選んで自作の腰掛に座ってのんびり草を引いているのです。

 今の時期庭の草は余り目立ちませんが、昨日までの春の雨で雑草は急に勢いを増し、あちらこちらに顔を出し始めました。昨日は肌寒かったものの久しぶりに上天気で、私も午前中2時間、午後3時間庭の草を削りました。本当は暇さえあれば親父のように一本一本引き抜けばよいのでしょうが、暇もなく面倒くさいので草削り用の鍬で所構わず雑草を根から削って行くのです。

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 貧乏をしているくせにわが家は田舎なので、敷地面積が660坪もあって滅茶苦茶広く親父の手には負えないため、草刈機で裏山や畑を、草削り鍬で庭を私が手助けしないと見る見るうちに雑草に覆われてしまいます。除草剤でも使えば少しは作業も楽になるのでしょうが、畦畔保護や健康のためにも除草剤は一切使わないため、早め早めにこうして草と戦っているのです。

 草削りに夢中になっていると郵便局員が宅配便を届けてくれました。日振島公民館の畠山さんからサザエとアワビ、ナマコが沢山届き嬉しい悲鳴です。またポケットに入れた携帯電話が何度も鳴って、講演依頼のため予定表を確認するため自宅に出入りしたりまあ忙しいことです。


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 午後4時ころやっと目安にしていた庭の除草を終わりました。削って集めた草は2~3日天日に干して根の土を落としてから、庭の隅にしつらえた雑草置き場へ運ぶ予定ですが、何はともあれすっかり綺麗になったようです。これで5月の連休前までは持つ予定なので来週からは人間牧場の農作業に取り掛かる段取りをしなければなりません。お百姓さんが「農業は草と虫との闘いだ」と言っていたのを聞きましたが、今頃になってその言葉の意味を噛みしめています。

 さてこれから10年くらいは何とか私の体力で庭と人間牧場の草手入れは出来るかも知れませんが、その後はどうなるか私と親父の関係のように、そのうち長男の力を借りねばならない日もそんなに遠くないと思いながら、昨日の作業を終えました。


  「少しだけ 足腰痛く なりました 草取り作業 体に堪え」

  「あと何年 親父と俺を 足す力 持つのだろうか 少々不安」

  「まあ綺麗 妻の一言 疲れなど 忘れて悦に 入って庭見る」

  「雑草は 植えないけれど 逞しく 植えた野菜は 育ちが悪い」

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○散った椿の花もまた美しい

 寒かった今年の冬もようやく終わりに近づき、海沿いの町ゆえの特権でしょうか、水仙から始まった花暦は菜の花にバトンタッチして、今を盛りと咲き誇り多くの人の目を楽しませてくれているようです。また菜の花のような派手さはないものの、人間牧場界隈やわが家の庭には山茶花に変わり椿類が、控えめな装いで咲いています。

 花にはそれぞれ主張があって、菜の花の黄色も、椿の濃い赤色もこれまた自然のなせる業とでもいうのでしょうか、趣が違うのです。まさにオンリーワンなのです。

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 昨日畑の隅で侘助系の椿の木の下にピンクの花びらが落ちているのを見つけました。本当は落ちる前の咲いた花を見てやりたかったのですが、このところの忙しさにかまけて見ることが出来ず、名残の花しか見ることが叶いませんでした。この椿の木はもう10年も前、森林組合長をしていた稲田利一さんにいただいたもので、今は畑の隅でまるで防風垣のように、つつじや山茶花とともに無造作な扱いをしているのです。椿の花にすまないと思い書斎からカメラを持ち出して、散った花の芸術を楽しみました。

 

 役目を終えて地上に落ちた椿の花も風情があります。俳人なら一句、写真家なら一枚とそれぞれ上手く表現するのでしょうが、凡人の私ゆえ落ちた花の移ろいに目をやるくらいしか出来ませんでした。椿の花は去年の暑かった夏も、今年の寒かった冬もこの場所に立ち、季節の巡りの中で花を咲かせ、花を散らしたのですから、来年も咲いてくれる事を祈ってこれくらいの恩返しをしなければバチが当たるのです。落ちた花の中からしっかりした花を一輪持ち帰り広いガラスのコップに水を入れ、花を浮かせて見ました。水中花ならぬ水上花ですが、見事コップの中で蘇り、殺風景な机の上を飾ってくれました。

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 仕事から帰った妻が机の上の水上花を見て、「まあ綺麗、お父さんも侘び寂びが分かるのね」と褒めているのかくさしているのか分からないような言葉をかけてくれました。「花の命は短かいのでせめてもう一花咲かせてやりたいと思って」というと、「あなたも此花の心境」と返されました。そういえばリタイアした渡しはこの花のように地上に落ちているのかも知れません。もう一花なんて思いませんが、せめてこの花のように清楚に生きて行きたいものだとしみじみ思いました。


  「雨上がり 地上に散った 花の色 まるで芸術 思わず振り向く」

  「一年を かけて椿は 花咲けど 見る人もなく ひっそり散って」

  「落ちた花 一輪拾い 水上花 机に置いて 一人楽しむ」

  「この花の 姿に似たり 今の俺 一花咲かす 余力もなくて」


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