shin-1さんの日記

○日振島での講演会(その4)

 宇和島市の沖合いに浮かぶ日振島は世帯数179戸、人口416人の小さな島です。日振島公民館の講演会に招かれ出かけました。喜路(きろ)・明海(あこ)・能登(のと)という漁港を中心とした集落が点在していて、明海にある公民館へ集まることも容易なことではありません。ましてや夜の集会など来たくても来れないひとが多いのです。

 講演などに出かけると、主催者は希望的観測で集まるであろう人の数だけ椅子を用意するのです。その読みが外れて参加者が少ないと恥をかくことになるのですが、この日の読みはずばり的中し50の椅子が満席となり、慌てて後ろに幾つかの椅子を用意していました。

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 それぞれの地域には○○時間というのがあって、10分も送れたりすることはよくある話ですが、この日は予定通りまるでNHKのように19時きっかり講演会は始まりました。人が集まり時間が守れる、これでけでも日振島のコミュニティの素晴らしさが分かるのです。

 この日私がつけた演題は「島づくりの新しい風」でした。約90分日振島への応援歌とでも言うべき話を熱を込めて話させてもらいました。会場の雰囲気も打てば響く太鼓のように笑い声に包まれ反応は上々だったようです。私は魚村に生まれ漁村に育ちました。体の都合で漁業を断念し役場に勤めましたが、役場では産業課で水産行政を担当したり、地域振興課ではウォーターフロントに道の駅を造る仕事にも携わりました。

 役所を辞めてからも愛媛海区漁業調整委員会の委員に就任したり、全国各地の漁業関係のところに講演に出かけるなど、深い人間関係を保っているのです。また各地の離島には知り人も多く何かと出会いが深いのです。

 昨日日振島から帰る時、日振島で養殖を営む福島和彦さんからお土産に養殖をしているマハタをいただきました。マハタは高級魚で最近とみに有名な魚です。何で私にお土産まで?と思いましたが、福島さんは愛媛大学農学部社会人学び直し講座の学生で、私が客員教授として関わっているため、福島さんは昨年の夏人間牧場にやって来て私の講義を聞いているのです。

 ささやかな出会いをこのような形で深めてくれた律儀さにも頭が下がりました。今日は発泡スチロールを開封し、氷詰めされたマハタを取り出して出刃包丁で三枚に下ろし、刺身や煮つけ、鍋物にしてマハタ三昧な料理を楽しみたいと思います。

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  「集まりも 時間も守れ 言うことなし ひょっとしたなら 日本一かも」

  「養殖で 育てたマハタ 氷詰め 持って帰れと 土産にくれる」

  「島人は 長閑に暮らす ゆえなのか 人を大事に 思んばかりて」

  「ワッハッハ 笑う門には 福来る 公民館が 笑いの渦に」

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○ハマユウ咲く沖ノ島(その3)

 民宿はまゆうでお茶をいただいてくつろいでいると、ご主人が沖ノ島へマイシップで連れて行ってくれるというのです。沖ノ島は県の天然記念物に指定されているハマユウの自生地です。地元宇和海中学校の生徒さんたちが移植などをして長年保存に努めている所なので、一度は行きたいと思っていたのでお願いして連れて行ってもらうことにしました。

 ライフジャケットを着用して、養殖いかだの中を縫うように進むと、目と鼻の先にある沖ノ島へ到着しました。沖ノ島は小さな無人島ですがしっかりとしたステンレス製の桟橋もあって、とても綺麗な島でした。桟橋近くの広場には中学生や地元の人たちが大切に育てているハマユウに看板が幾つも立てられていました。ハマユウは夏の花のため残念ながら鼻を見ることは出来ませんでしたが、いつかまた花の咲く時期に訪ねたいと思いました。

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 林さんの案内で遊歩道を登ってデラ台風で犠牲になった方々の慰霊碑を祀る頂上へ上がりました。時あたかも東北地方三陸海岸が地震と大津波で大被害に会っている時期だけに、胸が痛む思いがして手を合わせました。こんな小さな無人島にもイノシシが住んでいて、足元のあちらこちらにはイノシシがぬたうったと思われる場所が幾つもありました。またカモメが運んだであろうハリセンボンというフグの残骸があちらこちらに落ちていたようです。

 海岸のあちらこちらには人間のエゴの塊と思えるプラスチックゴミが漂流物として流れ着いていて、綺麗な砂浜の美観を損ねていました。ここの砂浜の砂は沢山の貝殻で出来ていて、小林さん親子は物珍しそうに貝殻などを採集し、林さんに「これは何?」と自然が作り出した美しい芸術品に感心していました。沖ノ島の風景はいつまで見ていても飽きない風景です。そのうち地物の親子3人連れがボートで遊びにやって来ました。都会では考えられない何と贅沢な遊びでしょう。これぞ田舎暮らしの醍醐味だと感心しました。

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 民宿つわぶきに戻った私たちは、夜の集会に備え午後6時から少し早雨の夕食をとりました。座卓の上には海の幸が所狭しと並べられ、特に郷土料理であるアジと味噌で作ったさつま汁を三間米で炊いたご飯の上にたっぷりかけていただきました。まあその美味しかったこと、私はアジの南蛮漬け、アジやあわび、サザエの刺身、ツワブキの煮付け、アサリの貝汁、野草の天ぷらや和え物などを肴に、サツマ汁を3杯もお代わりをしてしまいました。漁村に生まれ育った私にとって民宿つわぶきでいただいた食事は全てお袋の味ですし、妻が作ってくれる料理と同じのようですが、ゆえに美味しくいただきました。

 水が美味い、空気が美味い、食べ物が美味い、そして人情が豊かである。質素でもこんな暮らしを毎日続けている田舎の暮らしに何の不足があるでしょう。私は幸せに生きていることを、民宿つわぶきで食事をしながら実感しました。

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  「あれもこれ 日ごろ食べてる 物だけど 何故か新鮮 民宿食事」

  「美味かった 郷土料理の サツマ汁 三杯お代わり よそってもらい」

  「ハマユウの 花の咲く頃 訪ねたい 島よそれまで 待ってておくれ」

  「デラ台風 犠牲になった 人の名も 風化判読 難しなりて」

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