○味噌が伊予柑に化けた
人間牧場のかまど小屋が完成してから、ご飯に味噌汁、梅干と漬物というシンプルな日本食を推奨実践して二年余りが経ちました。かまどで炊いたご飯も味噌汁もすこぶる好評で、飽食の時代で不評と予想していただけに、その意外性には内心驚いているところです。
廃品回収に出されそうになったアルミの鍋を、同級生女性の親から2個貰い受け、親父に頼んで鍋蓋、取っ手を作ってもらった鍋道具類も来客時にはフル創業で活躍してくれているのです。ただ惜しむらくは、かまどの焚口が2つしかないため、イベント時にはご飯を炊く羽釜と味噌汁を炊く鍋を交互に入れ替えなければならない苦労もありますが、まあそれくらいの作業を苦にしていては前へは進まないのです。
味噌汁を作る時は基本的に煮干で出汁を取ります。間に合わない場合は止む無く出汁の素も使いますが、双海町は煮干の産地なのでその普及も大切な仕事だと思っています。最近の若者たちは面倒くさくて値段も高いゆえ煮干で出汁を取ることなど疎遠ですが、煮干で出汁を取った味噌汁はコクがあってとても美味しいと評判です。味噌汁の命は出汁と味噌ですが、味噌は「裏が味噌」のコマーシャル名刺ですっかり有名になったギノー味噌を使っています。この味噌は愛媛県が全国一の裸麦を原料にした麦味噌です。大豆や米を使った味噌とは食味が違いますが、煮干とよく合うのです。味噌汁には必ず豆腐とワカメ、それにネギというこれまたシンプルな具財なのにとても美味しいのです。
一昨日は子ども体験塾の事務局をしている赤石さんを誘い、先日苗床に踏み込んだ落ち葉の上に透明なビニールをかける作業をしました。米ぬかと油粕をばら撒き水分を与えていた落ち葉はこのところの陽気で発酵が始まっているようで、落ち葉の上に手を当てると地熱のような温かさを感じるようになっていました。
この日、人間牧場での子どもたちのイベントの度に蜜柑類を差し入れしてもらう近所の西嶋さんが、親子で伊予柑の選別出荷作業を家の前でしていました。持ち合わせていたギノー味噌からいただいた麦味噌を3袋ほど訳を言って差し上げました。奥さんは大層喜ばれ選別中の伊予柑をキャリーに一箱くれました。伊予柑は妻も子どもも大好物で早速持ち帰り食べましたが、味といい香りといい最高でした。
ビニールを被せる作業が予想以上に早く終わったので、今月末に予定している千本桜の森プロジェクトで植える桜の杭にする竹を切りに唐崎まで出かけました。道上の竹林に入り、私がころあいな竹を切って道へ落とすと、赤石さんが鎌で枝葉を落とすという連携で、瞬く間に80本近くの竹杭ができました。私と赤石さんの竹杭を確保する役割はこれで終り、あとは26日の当日皆と一緒に桜の苗木を植樹するだけなのです。
忙しい合間を縫って春を迎える作業は急ピッチで進んでいます。味噌が化けた太陽の恵み伊予柑でビタミンCを補給しながら、季節の変わり目を楽しみたいと思っています。
「麦味噌が 伊予柑化ける 田舎道 春はそこまで 来ているようだ」
「苗床の 落ち葉かすかに 熱がする 早くも発酵 目論見どおり」
「苗床の 落ち葉ビニール 布団かけ 温かくして 発酵促す」
「杭用の 竹を山から 切り出して 背丈に揃え 切りて束ねる」