shin-1さんの日記

○福岡県築上町で大楠の樹を見て感動しました。(その3)

 一年中日本全国を旅している私にとって、行く先々で出会う人や食べ物、さらには天然記念物・郷土芸能・景観などのお国自慢に出会うことも楽しみの一つです。最近は幾分かインターネットにも慣れ、気分転換のつもりでヤフーやグーグルの検索機能を使って、訪ね尋ねる先々のことを調べたりできるようになって、違った旅の楽しみもできるのです。

 築上町を検索していて目についたのは大楠の木でした。日本でも5本の指に入るという大楠の木に出会いたいと密かに思っていました。築城公民館に到着すると、職員の皆さんは100人を超える京極地区の大会の準備で朝から忙しく働いていました。事務所の丸いストーブの前に陣取りお茶をいただきながら手持ち無沙汰にしていると、女性の館長さんが「腰の具合が心配ですが、よかったら大楠を見に行かれますか?」と声をかけてくれました。これ幸いとばかりに係長さんの運転する車に乗って大楠を見に出かけました。

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 築上町は瀬戸内海に面した海沿いを一辺として英彦山近くを頂点とする二等辺三角形のような奥行きの深い2万人余りの町です。大楠は公民館から20分ほど走った本庄という場所にありました。途中町が買い上げ近く修復工事が行われるという、石炭で財をなした古くて立派なお屋敷の前を通りました。

 大楠は一度火災で焼けたそうで半分は枯れて空洞になっていましたが、故事来歴を書いた立て札には樹高23メートル、根周り22メートル、樹齢1900年と書いていました。西暦に匹敵するほど楠の寿命はあるのだろうかと、失礼ながら多少懐疑な気持ちで見上げましたが、根元をぐるりと歩き根元を見たり見上げたりしましたが、まさに神宿る日本を代表する大木で、身震いするような錯覚を覚えました。

 先週は島根県雲南市吉田町でたたら高殿の横で天を突くように立っていた桂の木も見ていて、相次いだ樹木のパワーに圧倒されてしまいました。 

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 その後瀬戸内海に面した椎田の浜を見学に行きました。CCZ(コースタルコミュニティゾーン)事業で整備した海水浴場はとても立派で、切り石を敷き詰めて造った傾斜護岸は私の町の人工海浜よりもグレードが高いようでしたが、残念ながら養浜手入れが今一で、せっかく入れた砂が沖合へ流失して砂浜がやせているようでした。背後にある綱敷天満宮の神社の松林が映えて、いい景観でした。駐車場も広く、夏になると大勢の海水浴客で賑わうことでしょう。

 世はまさに受験シーズンです。天満宮の梅の花は残念ながら見学することはできませんでした。寒さのために神社境内の出店も人通りがなく閉まったままでしたが、多くの受験生がお参り祈願して春を待ちわびることでしょう。

 私たちの町の前に広がるのも瀬戸内海、この町の前に広がるのも同じ瀬戸内海です。関門海峡を越えたまるでポケットのような瀬戸内海なので、沖合に山口県を見たり愛媛県を見ることはことはできませんでしたが、海で結ばれた不思議なご縁を感じました。


  「瀬戸内海 同じ海でも あっちこち 見る場所違い 違った海に」

  「長閑なり 海の彼方に 島影も 見えず水平 線だけ一本」

  「大楠の 木を見上げつつ 幾千年 年輪刻んだ 多さ驚く」

  「木のパワー 欲しいと願い そっと樹の 肌に触りて 腰にいただく」

 

 

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○腰に優しい船旅を選んで九州へ行ってよかった(その2)

 関西汽船に勤める盟友浜田さんの忠告を受けて、ぎっくり腰の養生のため今回の九州福岡行きの講演旅行は松山~小倉フェリー便を選びました。浜田さんのいきな計らいで行きは1023、帰りは1023と覚えやすい予約番号を取っていただきました。本当は特1か特2くらいにすればいいのでしょうが、貧乏暮しが板についている私は、船などの乗り物やホテルなどはいつも最下位ランクをキープするのです。安いというのが一番ですが、最下位ランクに乗り合わせるどちらかといえば庶民派の人は話題も豊富で、何かにつけてすごく社会勉強になるのです。往路で隣に乗り合わせた若い夫婦は、最初から最後までいちゃつきまくって、抱き合いながら毛布の中で怪しい仕草をしていて気になって仕方がありませんでした。

 片方には剃り込みを入れた一見やくざ風の兄ちゃんがビールを買い込み隣の布団の上でグイグイやっていました。車とともに乗船したので、明くる日の朝は酒気帯びではと心配するほどでしたが、隣の私にやたらと話しかけ、腰の具合が悪いのを心配してくれながら、「珍しいカバンじゃが中を見せてくれ」とか、「九州へ何をしに行くのか」とか、まあ賑やかな話に花が咲きました。

 酒に酔ったお兄ちゃんをしり目に、せんべいのような布団の上に横たわりウトウトしていると、お兄ちゃんは自分の毛布まで私の体にかけてくれました。嬉しいことでした。船は明けやらぬ午前5時に小倉港に着きましたが、急ぐ旅でもないので7時まで船内休憩し、酒を飲んでぐっすり寝込んでいたお兄ちゃんを起こし、別れを告げて下船しました。

 本当なら体力づくりのつもりで歩く船着き場から小倉駅までは、カバンもあるのでワンメーターながら運転手さんに断りを入れてタクシーに乗りました。小倉駅周辺は何度来ても通過するところなのですが、駅周辺はすっかり綺麗になって、動く歩道が長く続くなど大都会な並みの街なのです。何年か前駅に張られた観光ポスターを見て小倉城に行ったことなどを懐かしく思い出しました。

 小倉駅から日豊本線、中津川行きの各駅停車に乗り込みました。行く先は築城と書いて「ついき」と読むのです。築上町の築城ですからついつい「ちくじょう」と読んでしまい、小倉から12駅目の「ついき」「ついき」と口ずさみながら車窓を眺めていました。

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 小さな「ついき」という駅に降りると、駅舎の反対側のプラットホームの傍に大きな看板が立っていました。インターネットで築上町を調べた時に乗っていた大楠の木をライトアップした写真看板で、その根元ででコンサートをしている風景でした。

 駅舎の待合室には10人ほどが駅の用意した石油ストーブを囲んで雑談に講じていました。午前8時30分になるのを待って築城の公民館へ電話をかけ、早速係長さんが軽四箱バンで迎えに来ていただきましたが、私の出番は午後からなのに、何でこんなに朝早く来たのだろうと、大いに推察しながら、腰の具合を心配して図書室の隅にストーブを入れてもらい、のんびり過ごさせてもらいました。


  「夜行船 眠り起きたら 九州路 腰の痛みに 寒さが染みる」

  「似合ってる 俺にゃやっぱり 二等室 傍でやくざの 兄ちゃんイビキ」

  「語呂合わせ 行きも帰りも 23 予約番号 予言どおりに」

  「二等室 安い金額 更値引き 他人事ながら 赤字心配」


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