○あの鳴き声はクツワムシかな?
秋も深まり外を歩くと何処からともなくコオロギやスズムシの鳴き声が涼やかに聞こえますが、我が家でで2~3日前から玄関先で賑やかな秋の虫の大合唱が聞こえています。その声はテレビの音もかき消すほどの大きさで、このままでは寝れない思い、虫かごごと家の外に出して寝ました。
松山市に住む小学二年の孫朋樹は大の虫好きです。休みの日にわが家へ来ると、天気のいい日には必ずといってよいくらい虫かごと網を持って家庭菜園や果樹園あたりを右往左往して虫を追っているのです。最初は怖いのか虫に触れなかったのに、今では平気で虫を捕まえて虫かごに入れ、さも宝物のように大事に持ち歩いているのですが、マンションは家が狭いため置き場がなく、また他の住人と壁を隔てただけの暮らしなので迷惑がかかるといけないからと、帰り際には母親に注意をされてしぶしぶわが家へ置いて、世話を頼んで帰るのです。
そんなこともあって、所要で電話をすれば必ずと言ってよいほど、夏の置き忘れ物であるカブトムシやクワガタのことや、先日捕まえた虫のことを盛んに話すのです。相棒だったおじいちゃんの私より友達が大事になりつつある孫朋樹ですが、唯一の共通話題は虫のことくらいになり、成長は喜ばしいのですが、ちょっぴり寂しくも感じているのです。
昨日の夜、所用で電話をかけたら孫が電話口に出ました。運よく虫かごの虫が賑やかに鳴いている最中だったので、電話の受話器を虫かごに向けて、電話で虫の鳴き声を聞かせてやりました。孫は少し興奮した様子で「今度行くまで餌をしっかりやって育てていてね」と電話を切りました。
私も妻も鳴いている虫の声が何という名前の虫なのか、さらには餌は何をやればいいのか困ってしまいました。とりあえず畑の秋茄子を包丁で切り、楊枝を刺して蒸す籠の中に入れてやりました。妻は梨も入れてやったようです。
今朝食べ具合を調べてみましたが、ナスはかなりかじられていて、虫も元気に休んでいるようでした。ところで虫かごにいる虫の名前は何というのでしょう。図鑑も今は孫が持って帰っているので調べようがありません。昔習った童謡を頼りに推測するため、ネットで「虫のこえ」という歌詞を見つけました。
あれ松虫が 鳴いている ちんちろちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴きだした りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す ああおもしろい 虫のこえ
きりきりきりきり きりぎりす がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわ虫
あとから馬おいおいついて ちょんちょんちょんちょん すいっちょん
秋の夜長を 鳴き通す ああおもしろい 虫のこえ
わが家で鳴いている虫はガチャヤガチャヤガチャガチャとないていますから、クツワムシに違いないようです。クツワムシが鳴き始めると妻はテレビを消し、玄関先に二人で腰をかけて虫の声を聞きながら、しばし秋の夜長を楽しんでいます。
「虫の声 電話受話器で 孫聞かす 餌をやってと 催促受ける」
「田舎ゆえ こんな楽しみ 味わえる 玄関座り 虫の鳴き声」
「あの声は ガチャガチャ鳴くから クツワムシ 歌に合わせて 名前を探る」
「ナスを切り 楊枝を刺して 虫かごに 孫顔思い そっと入れやる」