○親父は92歳の軽業師?
今朝妻が私に、「おじいちゃんが気の上って剪定をしている。危ないから止めてと言っても言うことを聞かないので、あなたが言って」と言うのです。外に出てみると、わが家の庭で一番大きくて高いクロガネモチの木の上に、脚立をかけて登りせっせと剪定をいるのです。92歳とは思えぬ軽業に思わず拍手を送るのか、それとも危ないと止めさせるべきなのか一瞬思いましたが、このようなことは今始まったことではなく、これまでにも再三いさかいをしました。
妻の注意など何処吹く風、私が注意をすると「お前がやらないから」と開き直られる有様です。「まあ好きなようにさせたら」と呆れ顔で見守るしかないのです。
(クロガネモチの木の上に上がって剪定をする親父)
親父は9月の誕生日で92歳になりました。同級生や友人は既に他界し、92歳といえば寝たきりになっても可笑しくない年齢です。それがこうして色々こまごましたトラブルはあっても、家のために働いてくれることは有難いことなので、今回もいつもと同じように見守ることにしました。
車に乗れない親父の唯一の交通手段は電動自転車です。毎週一回7キロ向うの下灘診療所へ受診のために電動自転車に乗って、往復14キロを走る健脚ぶりです。自転車は危ないからと注意をするのですが、私も妻も忙しいため病院へ連れて行くことが出来ず、結局は親父の思い通りになっているのです。
昨日は間もなく始まるであろう家庭菜園のタマネギの作付けのために、土作り用の牛糞堆肥を買い求めるため、伊予市のダイキというホームセンターへ、親父の要望に応えて軽四トラックに親父を乗せ、買いに出かけました。お店の店員さんに「牛糞を10俵下さい。お金は幾らですか」と尋ね、自分の財布から支払いを済ませる姿は、とても92歳の老人とは思えないのです。さすがに重い荷物を運ぶことは出来ませんが、むしろ66歳の私が親父の後追いをしているようで、思わず苦笑いをしてしまいました。昨日の野菜の消毒だって、親父が消毒し私がホースを引っ張るとという作業分担で、幾つになっても親は親、子は子ですから、ひょっとしたら私より長生きするかも知れないと思ったりするのです。
親父の健康の秘訣は色々あるのでしょうが、太陽とともに起きて太陽とともに寝ること、毎日少々の寝酒をたしなむこと、肉は食べず魚と野菜を食べること、骨董や日曜大工などの趣味を持っていること、毎日家庭菜園の草取りや庭の手入れをすること、暇があれば昼寝をすることくらいで、普通の暮らしをしています。外の人との交流も殆どありませんが、それでも近所に子どもや兄弟が住んでいるため毎日誰かは訪ねて来て色々な話をしているようです。まあ気ままで穏やかな暮らしがいいのかも知れません。何よりも夕食を作ってくれる妻と、相談相手になってくれる長男の私が同一敷地内にいる安心感も長生きの秘訣だと、人に漏らしているようですが、私たちには言いません。まあこれからも好きなことをして長生きして欲しいと願っています。
「ひょっとして 俺より長生き するのかも そんな気がする 軽業見ると」
「あのように 三昧日々を 暮らせたら 当面今は 親父目標」
「わが家では 親父一番 俺二番 三番息子 孫四番」
「年寄りが 元気で同居 何気ない ことだがこれは 最高幸せ」