〇ひとり未来の森を訪ねる
昨日はせっかく今治へ行くのだから奥道後~水が峠~玉川~今治の山周りを走ろうと思いました。というのも昨年、コープえひめの理事会で環境活動の一環として植林運動をしている森の名前を決める投票に参加したので、一度玉川にある「未来の森」を見てみようと思い立ったからです。山周りの道は先日の大雪で通行止めになった爪痕のように、道端にはまだ雪が残っていて、その季節はずれの重い大雪で道沿いの畑にはパイプハウスが幾つも潰れて無残な姿を見せていました。
玉川には伊予三名湯の誉れ高い鈍川温泉があります。玉川ダム湖畔の山坂を下り右に曲がると間もなく鈍川温泉郷に入りました。山の中の温泉なので7~8軒の温泉宿もひなびた雰囲気は否めませんが、休日朝の旅立ちの時間だったため結構人や車の姿が見られました。
温泉郷を通り過ぎてしばらく行くと鈍川渓谷が見えてきました。今は冬枯れの季節なので彩りはありませんが、春特有の息吹のようなものを瀬音に感じながら奥へ進むと、予定通り涵養の森に着きました。この奥には知人の森さんが温泉つきの別荘を持っていて、何度か泊めてもらったことがあるため、見慣れた道を思い出しながら安心して森へ入ることが出来ました。
「未来の森・コープえひめ」と書かれた看板が見えたので車をUターンさせて路側に止め、そこら辺を散策しました。春まだ浅い森の中ゆえ通行する人や車はまったくなく、冷え冷えした森の空気を独り占めするような気持ちで胸いっぱいに吸い込み森林浴を楽しみました。
看板の奥にはコープの植林運動に応えてみんなが植えたであろう苗木がいっぱい植えられていました。そんな名も告げず植えたであろう木々の向うには、いかにも「私が植えました」と言わんばかりの白い名前の入った木柱が幾つも建っていました。
道端の植えられた苗木が2~3本何が原因なのか支柱の竹ごと倒れていました。植林運動に参加しなかったお詫びの印に、車のトランクに積んでいた小さな鍬を取り出し、勝手に倒れた苗木を補修させてもらいました。そうこうしていると、通りかかった山仕事に行くのであろう軽四トラックが、私の姿を見て怪訝そうな顔つきで通り過ぎて行きました。多分盗掘でもしているのではと思ったに違いないのです。
個々に植えられた木々は全てが成長するとは思えません。私が手直しした苗木のように落石や鳥獣の被害に遭うかもしれませんが、願わくばしっかりと大地に根を張って成長し保水や環境保全に一役かって欲しいと願っています。いつか私も暇を見つけて植林運動に参加したいとも思い、ほのぼのとした気持ちで「未来の森」を後にしました。
「春浅き 未来の森を 訪ねけり 鍬持ち倒れし 苗木を補修」
「鍬持った 私じろりと 批判目で 軽四叔父さん 通り過ぎ行く」
「いい名前 ついたと自慢 したくなる 自分が植えた 訳でもないに」
「この苗木 大地しっかり 根を張って 大きく育て 独り言言う」