〇今年度最後の日に思う
日本は不思議な国で、旧暦と新暦が混在し、新暦中心の暮らしをしているのに、どちらかというと暮らしの知恵は旧暦を使うのです。種蒔きなどの農作業には昔から言い伝えがあって、年寄りなどはむしろその言い伝えを忠実に守って野良仕事をしているのです。「八重桜が咲けば遅霜に会わない」などという言葉を聞く度に納得して作業を始めるのです。
ところがつい最近、旧暦や言い伝えさえも当てにならない異常気象が頻繁に起り、農家はかなり苦しめられているようです。東北では春が来たと芽吹き始めたアスパラガスが、突然の春先の積雪によって冬が来たと勘違いしたアスパラは休眠状態となって成長を止めてしまったというのです。例年日本人が大移動をするゴールデンウィークの頃に出荷する予定だったアスパラガスは再びの眠りから覚めて芽を出しても、間に合わないと農家の方々をがっかりさせています。
柿の産地和歌山県では南風が吹いて春が来たと思って芽吹いた芽がその後の寒波で枯れてしまい、このままだと収穫ゼロも予想されると嘆いているし、温度管理して作っているはずのハウストマトだってこのところの寒さで揺るだけの加温が真昼にも加温しなければならず、加えて日照不足で玉太りが悪いと嘆いているようです。農林関係の調査によると、そすした異常気象の影響を受けている都道府県は日本の半分にも及んでいるというから、農家の悩みは深刻です。今後の野菜の価格変化を注意深く見守らなければなりません。
さて日本にはもう一つ会計年度と教育年度というのがあります。これは4月1日に始まり、翌年3月31日をもって終わりになる制度です。会計も税金も全てこの年度が採用されているため、年度末には確定申告、年度初めには税の確定、そして税の取立てと、息つく暇もなく貰う金は少ないのに税金だけは容赦なく取り立てられるのです。税金を払えるのだからまだ結構と幾分諦めてはいますが、年金生活者になってみて初めて「税金は高い」ことがしみじみ分かるのです。
教育年度も会計年度と一緒です。学校は一年の一区切りを終えて殆どの人が進級します。最近は就職難で卒業しても内定がもらえない人の中には留年という道を選ぶ人もいるようです。私の子どもが大学に進学した折、親子の約束として「大学は4年で卒業すること」などといっていた言葉も今は変えざるを得ない就職の現状を思うと、本人は勿論のこと親の悩みも深いのです。
昨日上灘中学校の浅野校長先生が異動離任の挨拶にわざわざ自宅までお見えになりました。学校評議員をしていたこともあって校長先生とは色々なご厚誼をいただきました。菅外から異動で来られこの2年間、下灘中学校と統合するという節目の年にめぐり合って翻弄され、心労はピークに達したのではないかと思われますが、異動先は鬼北町泉小学校だそうです。休む間もなく新しい任地で学校経営をしなければならない教育年度のことを思うと、どうかご無事でいい仕事をして欲しいと祈るばかりです。
異動しなかった人も移動した人も、特に行政職員や学校職員はしっかりと自分自身の生き様を総括して、子どもたちが進級したのを見習って、ワンランクアップして欲しいと思うのです。人は何かの区切りがないと総括しないし成長の確認も出来ません。一日、一ヶ月、一年などなど、区切りはあっても、異動から異動まで何の総括も進級もせずに過ごすような愚かな仕事だけはして欲しくないのです。かくいう私も今日で終わる年度を総括して、リタイア後6年目を迎えるに当たり、目標を立ててまた心新たに生きたいと今朝を迎えて思いました。
「新暦や 旧暦年度 使い分け 日々の暮らしを 組み立て生きる」
「子どもさえ 進級するから 俺たちも 進級目指し 励まなければ」
「明日から リタイア六年 事始め 五年総括 新た目標」
「メリハリの 効いた五年を 生きてきた これから先も 健やか生きる」