shin-1さんの日記

○鳥取県江府町に招かれて

 妻が「最近山陰に行く機会が多くなったね」と言うものですから、「山陰にええ人が出来たんよ」と冗談を飛ばしながら自分の予定表を捲ってみると確かに島根や鳥取へ行く機会がこのところ多くなっているようです。山陰といえば山陽と比較されるように、山陽の明るさに比べ何となく陰の部分が多いような感じがしますが、県民性はいたって素朴で私のような田舎者には何となく波長が合うのも招きの原因かもしれないと納得したりするのです。今回は高速道路米子道のインターチェンジがある江府町からのお誘いがありました。というのも先日伯耆町から講演依頼があった折、会場に江府町の井上企画課長さんや田中幹啓町議会議員さんが見えられ、ぜひわが町へもとのお誘いで実現しました。田中議員さんとは長年の旧知の間柄で手紙や電話でしょっちゅうやり取りをしている間柄であり断る理由もなく引き受けました。

 普通山陰へは特急やぐもに乗り岡山経由で入るのですが、明くる日の予定が入って早立ちだし東城で人に会う約束があるので自家用車で出かけました。午後4時に役場で待ち合わせをするよう約束していたのですが、カーナビゲーションを信じたのですが、役場が意外な場所にあってい陸地が分らず右往左往し結局10分間遅れて役場に到着しました。役場を訪れて驚きました。役場が素敵な木造なのです。今時木造なんて時代遅れのような感じを持つ人もいますが、これぞ一周遅れのトップランナーだと多いに気に入りました。聞くところによると集落の公民館の整備を先にして役場はその後でもいいと前の町長の出した方針に沿ってのことだそうですが、その経緯にも感動しました。だいたい最近の役場庁舎は立派過ぎます。立派な庁舎で立派な行政が行われれば良いのですが、残念かな役場が立派だからといって立派な行政が行われるとは限らないのです。



 役場から見える江府の町も秋色に映えて美しく見えました。

 役場の担当の影山さんと名刺交換もそこそこに彼の運転する公用車に乗り込み大山の山裾を目指して走りました。標高が高くなるにつれて山は紅葉に彩られ、特に秋の夕暮れの陽の光が紅葉を優しく包み込み言葉ではいい表せられないような見事さです。標高の高い峠に出ると大山の山に霧がかかり、裾野には今が見ごろの紅葉が幾重に見幾重にも重なって、感動の余りに言葉も出ませんでした。

 昨日までの連休は好天に恵まれこの辺りは大変な車の渋滞だったとか、その言葉が信じられないようにこの日はすっかり日常を取り戻していました。

 ご覧下さい。この美しい紅葉を・・・・。まるで絵に書いたようですね。私も影山さんにお願いして一枚撮っていただきました。この場所は幾ら温かいといってもこのところの冷え込みでさすがに冷たく、観光客もカメラに収めながらそそくさと山を下りてゆきました。帰り道の両側にはブナ林が広がり、道はまるでブナのトンネルのようでした。夕日の木漏れ日が道を照らしまるでメルヘンの世界にいるようで、思わず車のフロントガラス越に一枚加えました。

 下山して旅館で美味しい夕食をご馳走になりました。議長さんと助役さん、それに田中ぎいんさんの4人で食べたのですが、久しぶりのご馳走で、おこわは特に美味だったため美味しいと本音を言ったところ、帰りにおこわと課長さんが早朝抜いたという奥大山の大根、それに田中議員さんからは世にも珍しい大きな鮎をいただきました。また饅頭も絶品で書き表せないような妻の喜びがその夜の出来事でした。


 会場は多くの人が来ていましたが、町長さんや議員さん、それに役場の職員さんも多く江府町が合併せず単独で生き残りを決めた今後のまちづくりについて話をさせてもらいました。特に印象深かったのは講演が終わって色々な意見が飛び出したことです。合併はややもすると内向きにみんなが手をつないで頑張ろうとする傾向が見られます。勿論それも必要なことですが、鎖国をしてはならないのです。つまり手つなぎの連帯から手放しの連帯を求め、一人一人の町民が自立することを始めなければ町は決してよくなりません。さあ、江府町の挑戦が始まります。

  「単独で 決めたからには 相応の 覚悟必要 町民自立」

  「絵に書いた ような紅葉に 夕日映え こんな世界も あるのか感激」

  「水を売る だったら町民 飲んでみろ 健康いいと 噂広がる」

  「このところ 山陰度々 お邪魔して 人の心に 火付けて帰る」


追伸

 帰り際、中国山地のあちこちできれいなもみじを見ました。先を急ぐので、しかも雨模様の天気だったので目の保養だけで帰りました。その後田中議員さんからの電話によると、大山は雪が降って山頂付近は白い帽子を被ったとか、本格的な冬がそこまで来ています。ご自愛ください。



 道端に停めて写した石霞渓通天橋の紅葉です。 


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shin-1さんの日記

○秋の橋巡りそして講演会・藤の川(20-18)

 11月5日は絶好の秋晴れに恵まれました。野外のイベントを主催する人にとってみれば天気は水ものというけれど、やはり気になるものです。そんあ心配を打ち消すように晴れわたりました。高知県四万十市西土佐玖木という集落にお邪魔するのは今回が3度目です。私の講演や産業課女性職員の熱心な指導もあって講演会をきっかけに集落にある20程の橋を巡るイベントを計画したのは梅雨明けやらぬ7月23日のことでした。小雨にたたられた小さなイベントでしたがそれなりの成功と集落のやる気が醸成されて、今回は秋の紅葉をメインにすえてコンニャク作りや餅つきをメニューに加え、前回と見違えるようなチームワークで取り組みました。

 私もお声がけを受けたので早朝7時過ぎに家を出て3時間足らずの道程を車を走らせ出かけました。途中顔見知りの民宿舟母に立ち寄りお茶をいただきながら立ち話を済ませ会場に着きました。秋の穏やかな日和の中で、既に地元の人たち総出で準備が進められ、公民館前の広場にはテントまで張られる周到さです。受付で知恵さんという一人の女性に出会いました。もう10年前に野塾という若者塾に招かれた時知り合った女性で、その後も音信はあるものの出会っていなかっただけに時の流れの早さに驚きながら懐かしく昔話に話が咲きました。

 イベントはコンニャクづくりからスタートです。顔見知りのおばちゃんのまるでトークショーを聞いているような軽快なお喋りで、用意された蒸したコンニャクイモを細かく切ってお湯を加えながらジューサーにかけ、捏ね上げて灰汁を入れ固まりかけたら手で丸めてお湯の中に入れて再び茹でると出来上がるのです。


 遠くは愛媛県からも参加した15人余りの参加者に加え地元の人も沢山いてそれは賑やかなイベントとなりました。早速出来上がったコンニャクを刺身にしてユズを絞った醤油でいただくのですが、これが美味いのなんのって、幾らでも食が進みのです。コンニャクは余り好きでない私でも人につられて沢山食べました。

 続いて餅つきです。思い石臼を運んできた山口区長さんの指導でこれも賑やかな作業です。つきあがった餅はテーブルの上で中脇係長の軽妙な手さばきであんこが入れられ、つきたて餅をいただきましたが、これも美味しい味でした。それにしても中脇係長の腕捌きには脱帽してしまいました。役場職員である前に農家の嫁であることの証明でしょうか、すっかり見直してしまいました。彼女のような農家や農民の目線で仕事が出来る燻し銀のような職員は日本全国にも少なくなりつつあることを寂しく思います。知識の伝授でなく知恵の伝授をする彼女のような職員はややもすると古いタイプの人間のように思われ、足を引っ張る人が多いのですが、今回はいい職員に巡り会って西土佐参りの甲斐があったと喜んでいます。


 コンニャクづくりと餅つきをしている間に台所では天ぷらや具沢山のちらし寿司が作られ、公民館横の木陰にシートを広げ通食を兼ねた大宴会が開かれました。宴会といっても時節柄アルコールは出ず、山から取ってきたばかりのお茶の葉っぱを火で焙りお茶の葉の代用にする独特のお茶が用意され、それぞれの食べ物の説明を受けながら舌鼓を打ちました。作り方は大さじいっぱいなどのレシピはなく、全て農家のおばちゃんの長年培ってきた腕と舌というアバウト感覚で味付けされているのですが、これが何ともいえない味で、お腹パンパンというくらい食べてしまいました。傍のテントではユズや米、イモ類や餅、ちらし寿司弁当などが田舎言葉で見る見るうちに売れてゆきます。奥の黒尊でイベントをしているらしく頻繁に車が通り、その度にテント目当てに人がやって来るのです。店番を担当した顔なじみのおばちゃんもこの日ばかりは少々派手目のお化粧と赤いエプロンでお客をもてなし対応におおわらわでした。


 さあ食事が終われば橋巡りです。片道2キロのコースは少し暑いぐらいの陽気でしたが、影を歩くと心地よくみんな思い思いの話をしながら歩きました。まるで小学校時代の遠足のようでした。

 山口区長さん宅下の小さな沈下橋です。


 今回の目的の一つであった紅葉は残念ながら気温が下がらなかったためほんのり薄化粧といった感じでしたが、少雨の影響で少ない水量ながら棲んだ水面に映えてとても綺麗でした。


 それにしても四万十川の支流黒尊川は綺麗ですね。最後の清流はどちらが本流か分らないほどです。

 途中赤トンボが沢山留まっているイチョウの木を見つけ写真に収めましたが残念ながら焦点が木に当たって上手く写りませんでした。

 一行はさらに奥へ進み、谷に下りて跳ね橋という木製の橋を見学しました。雨になると流されるこの橋は、前回流されて見れませんでしたが、今回はしっかりとセットされていました。


 参加した親子が橋の上を歩く姿は何ともいえないほほえましいものでした。

 さて秋の橋巡りは沢山のお土産をいただいて、無事終了することが出来ました。願わくば冬雪の頃、あるいは芽吹きの春の頃再び三度訪ねたいと思い、丁寧な見送りを受けて玖木を後にしました。

 夕方の藤の川での集会まで間があるので、四万十川界隈のそこここを散策して回りました。悠久のゆっくりした四万十川の流れを眺めながらのんびり過ごす幸せを感じつつ時は過ぎてゆきました。季節は晩秋に差し掛かりつつあり、道端のウルシやハゼが少し紅葉して風情を醸していました。


 夕方総合支所で市役所職員と合流し藤の川を目指しました。藤の川への道は折りしも15夜の満月の光が煌々と照り、まるで昼のような明るさです。地域の人が丹念に植えたであろう桜の並木もすっかり葉を落とし枯れ木の状態になっていましたが、春の桜の時期は見事だろうなと想像しながら奥まった藤の川集落に到着しました。

 集会所の大きさと新しさに驚き、また集会所正面に掲げられたむらづくり農林水産大臣賞の表彰状にも二度三度驚きながら、沢山の方々が参加して、これまた熱心な講演会となりました。終盤ながら意識の高い集落に行けてすっかり幸せな気分となりました。今から12年前の平成6年に受賞している大臣賞の重みを感じつつ話をしました。


  「橋巡り たった三月の 月日だが 緑が赤黄 変わり一変」

  「跳ね橋に 人の知恵見ゆ 長閑なり 戯れ進む 親子一二歩」

  「大臣の 表彰額が 掲る地区 どこか違うな レベル高そう」

??? 「月明かり 葉落とし桜 道照らす 行けども目指す 集落遠く」

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