shin-1さんの日記

○孫が池に落ちた

 それは突如として起こりました。今朝孫を連れてシーサイド公園へ遊びに出掛けました。冬の海岸は通る風も冷たく、人通りもまばらでした。すっかりお馴染みになったじゃこ天のおばちゃんと口相撲を取り、クリスマスのプレゼントにお菓子を貰ったまでは最高でした。孫は顔馴染みの所長さんから鯉の餌を貰い、悦に入って餌を投げていました。「朋君池に落ちないように」と所長さんの警告も聞かず、冬で餌を余り食べない鯉に餌を遠投げしようと身を乗り出した瞬間、ボチャンと池に落ちてしまったのです。驚いたのは私だけではありません。落ちた孫の方がもっと驚き、泣きもせず私が引き上げました。孫は重装備だったのですが、全身ずぶ濡れで寒さに震えました。

 私は抱きかかえ車に乗せて家まで一目散、服を脱がせストーブで暖を取りながらしっかり拭いてやりました。風呂を溜め身体を洗ってゆっくり暖めてやった頃、やっと正気にもどって話し始めました。鯉が餌を食べないので遠くへ投げたこと、自分が落ちてずぶ濡れになったこと、おじいちゃんが助けてくれたことなどを話すのです。そして笑い話のように「ぼく池で鯉と一緒に泳いだよ」と話す姿はやはり子どもの世界です。

 それにしてもラッキーでした。もし私が近くにいなかったらと思うと、帰省して孫が事故にあった話を思い出しながらゾッとしました。孫は何事もなかったようにはしゃいでいますが、孫を預かることの重みを感じた一幕でした。風邪をひかぬか心配していますが、今のところそんな様子もなく一安心です。昼には父親が迎えに来るのですが、平に謝りたいと思っています。

 孫の一生はまだ始まって3年余り、百年生きると仮定したらまだ97年の長き人生があります。多分これからも様々な試練にあうでしょうが、せめて周りの気配り目配りだけはしっかりせねばと思いました。

 私の責任は重いです。過失致死までは行かなかったのですが、一歩手前でした。

 今日はクリスマス、孫の思わぬハプニングに驚かされ動揺の色は隠せません。一寸先は何があるか分からない、今年も残された日々を穏便に過ごしたいものです。

  「冬池に孫が飛び込む水の音血の気引きつつ抱えて家に」

  「鯉に餌やりたかったの震えつつ喋る孫顔青ざめており」

  「妻娘私に冷たい声浴びせ子守りもできぬ歳になったと」

  「風呂の湯気孫と私を包み込む顔に正気の笑みが戻りて」

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shin-1さんの日記

○不燃物磨けば立派なお宝に

 近所に住む妹が何やら古い鉄の塊をおやじの所に持ち込みました。日ごろはこのところの寒さで冬眠暮らしをしているようなおやじですが、生きがい発見とでも言うのでしょうか、その鉄の塊を見てワイヤブラシで磨き始めたのです。妹にとっては古い家を壊して新築した際に出たゴミなのですが、おやじにとっては新しい生きがいの対象物なのです。

 隠居へ呼ばれた私に目利きするよう言われても、おやじの方がはるかに目利きなので同調するしかありませんでした。鉄瓶はさして珍しいものではないのですが、その下の炉は見たこともないような物なので「磨いたら面白いかも知れない」と言い残しその場を去りましたが、昨日は一日中それらをいじくっていました。

 今朝、朝のあいさつにおやじの隠居へ行って驚きました。誰も見向きもしない鉄の塊が錆を落とされ立派なお宝に変身しているではありませんか。おやじも「余りいいものではないが、珍しい道具だ」と満足しきって盛んに磨いていました。まさに「磨かぬ宝光なし」でしょう。

 このように私のおやじは古いものを大事にする古風さと目利き、それに器用な腕を持っているため色々な人が色々な物体を持ってきてくれるのです。

 3年程前だったでしょうか、ある人が室戸へ仲間と旅した折、海岸に得体の知れぬ鉄の塊を見つけたそうです。次の年に行っても同じように転がっていたので、珍しいと車に積んで拾って帰りました。庭の隅に置いていたのですが赤茶けた鉄の塊は何とも奇妙で、家族も気味悪くなって私の元へ届いたのです。「あなたが気味悪いものは私も気味悪い」と断ったのですが、懇願されてわが家へ運ばれて来ました。

 おやじはそれ以来、ワイヤブラシで床置きにするような鉄本来の黒光りまで磨き上げてしまったのです。私もこの物体の正体を色々調べましたが結局は何なのか分からずじまいでした。私はこの鉄の塊を「くじらの卵」と名付けて大切に保管しています。先日も持ち込んだ彼がやって来て、余りの見事さに「返してくれ」といわんばかりでした。

 おやじは凄いと思います。88歳の老域とは思えないパワーは到底真似の出来ないものです。私は時々知り合いの骨董屋を訪ね、金など出さないガラクタ1点・2点を貰って帰り、父にプレゼントします。父は喜んでそれを磨くのです。妹もそのことを知っての不燃物持込みだったようです。

  「不燃物父の手により光りだす値打ちなくても生きがいの足し」

  「尺取の虫にも似たりコツコツと俺も老後はあんな生き方」

  「機関銃魚雷まである俺が家今度はドデカイ鯨の卵が」

  「親父言う今度は俺が展示品古くなったぞもうそろそろか」

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