人間は今という時に生きてます。既に過去になった自分の人生を振り返ってみると、ああ生きればこう生きればよかったと反省するのですが、後の祭りといったところでしょう。
しかし、私は50歳の時に考えました。「あと10年で60歳の定年を迎えるから、これから60歳までの10年で60歳からどう生きるか考え、生活設計しよう」と思いました。その結果生まれたのが「人間牧場」構想です。「海と夕日の見える小高い丘の上に、暮らしに疲れた人や、夢を抱く人に集まってもらい、草むらに牛がのどかに草を食むような姿で過ごす場所を作ろう」と思いました。そのためには「お金」と「知恵」と「仲間」と「適地」「水・電気」が必要でした。
「仲間」も「知恵」も長年のまちづくりやボランティア活動で得ていたので、まず「土地」を探すのに苦労しました。町内のあちこちに適地を求めましたが、残念ながら田舎では水と土地は先祖伝来のお宝だから売らない、貸さないの一点張りで挫折しました。しかし幸い我が家のみかん畑が長年の放置によって廃園になっていたので、妻の助言もあって土地を求めることができました。
さらに困ったのは資金調達でした。50歳のとき助産士をしている娘のアドバイスもあって一ヶ月に10日の休肝日を設け、その日は酒を飲んだと思って千円を貯蓄することにしました。たったこれだけでも年間12万円、何と10年間で120万円貯まりました。また55歳で出版した「昇る夕日でまちづくり」の売れ行きが好調で少しばかりの蓄財ができ、何とか何とかです。水・電気も近くの方のご好意や電力さんの力で何とかなりました。ありがたいことです。