人間牧場

〇私は大ボラ吹き

 人間牧場の書棚の片隅に、水牛の角で作ったと思われる「角笛」が置かれています。もうかれこれ45年も前、第10回青年の船に乗ってアメリカ・メキシコへ行った時、当時のエチェベリア・メキシコ大統領の息子さんも乗船していて、日本からアメリカ・メキシコまでの片道を一緒に旅をしました。私は班長をしていたので、折に触れ息子さんと通訳を通じて色々な話をしましたが、メキシコ・アカプルコ港で息子さんと下船して別れる時、お礼にと角笛をいただきました。

人間牧場水平線の家で大ボラ吹きならぬ角笛を吹く私

その後よく調べてみると、この角笛は東南アジア系で作られた土産物のようでしたが、私にとっては大統領の息子さんから貰った思い出の品なのです。私はこの角笛を当時を思い出しながら時々吹いていますが、吹き方は日本のホラ貝を吹く要領で、唇を震わせ吹くと、腹の底に響くような低い音色は人間牧場周辺の山々に木霊して、その存在を示しています。その姿を見て人間牧場に集まる仲間は私のことを「ホラ吹き人間」と呼んでくれます。

私はホラ吹きならぬ角笛吹きだと思っています。「ホラ」とはできもしないことをさも出来そうに吹聴することでしょうが、当時は大ボラと思えたアメリカ行きも、双海の夕日を日本一にすることも、また人間牧場を造ることさえもちゃんと実現したのですから、人はどう思っているか知りませんが大ボラも吹いてみるものです。私の吹いた角笛が地球の裏側とも思えるメキシコへ届くはずもありませんが、今となっては角笛もよき思い出となりました。年齢も間もなく後期高齢者となり、昔のように夢のような大ボラは吹けませんが、これからも夢を持って生きて行きたいと思っています。

「大統領 息子に貰った 角笛を 時々吹いて 昔懐かしむ」

「角笛を 吹く私見て 友だちが 大ボラ吹きだと 名前を付ける」

「若い頃 大ボラ吹いた あれやこれ 殆ど実現 ホラは吹くもの」

「これからは 少し自粛を しないとね 大ボラ吹きで あの世は嫌だ」

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