人間牧場

〇月の引力の見える頃

 私は生まれてからこの方、一時宇和島に3年間遊学したり、宇和島水産高校の実習船えひめ丸乗船(約3ヶ月半)、総理府派遣第10回青年の船乗船(約2ヵ月半)、社会教育主事講習で香川大学遊学(約1ヶ月)以外は、生まれた土地を殆ど離れることもなく、海に面した双海町というふるさとで暮らしています。

月の引力を実感できる双海町の海岸

 ゆえに海が大好きで、夕日に魅せられていることもあって、殆ど毎日海を見ています。海は殆ど同じように見えますが、昔と今では海岸線の様子は随分変り、昨日と今日でさえ干満が約一時間ずつずれているのです。特に春先のこの時期の大潮(新月と満月)は干満の差が大きく、月の姿も日に日に変わって、月の引力の大きさを実感するのです。

 私のような凡人は天動説や地動説の違いさえ、分らぬまま日々を過ごしていますが、人の話を聞いたりものの本を読むと、例えば満ち潮に子どもが生まれる確率が高いなど、引力の人間に及ぼす影響は相当なもののようです。私もこの1ヶ月余りに二度、満月と新月の2回の干潮を利用して海岸で、ヒジキ刈りを行い一年分の干しヒジキをゲットしました。

 下灘と上灘に暮らす漁師さんも旧暦で漁をしており、またお百姓さんも旧暦を参考にしながら畑仕事をしているようです。日々の暮らしは新暦ですが、私たち田舎人の暮らしは今も、月の引力によって成り立っているようです。3日後に迫った5日は24節気の一つ啓蟄です、月の引力に目覚めた虫たちが土の中から這い出す頃、待ちに待った春がいよいよやって来ました。

  「海沿いに 面したわが町 あの人も この人たちも 月の恩恵」

  「私さえ 今年も2回 引力の 恩恵受けて ヒジキ刈り取る」

  「昨日今日 見た目変化は ないけれど 海岸線じゃ 潮の満ち引き」

  「田舎では 月の引力 知らずして 生きては行けぬ 拳拳服膺」

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