人間牧場

〇野良生えの夏みかん

 人間牧場の入口には、樹齢100年以上の天を仰ぐような、大きなヤヤモモの木があります。このヤマモモは私が子どものころから、その大きさが変わらないので樹齢は定かではありませんが、地元の人の話によると2回も雷が落ちて黒焦げになったため、中は木霊が宿っているような空洞があります。地元の人はこの大木の下の広場に、小さな瓦焼きの祠を置き、道祖神として祀っていて、折に触れお供え物をして祈りを捧げているようです。

野生の夏蜜柑
野生の夏蜜柑

 時折人間牧場にやって来る腕白な子どもたちは、この木によじ登って遊んでいますが、私もヤマモモの木の周辺の草刈りは、私の仕事として毎年4~5回草刈機で刈っていますが、その直ぐ近くの茂みに今年の夏ごろ夏みかんと思われる実が20~30個なっているのを見つけました。察するに小鳥が夏みかんを食べた折、夏みかんの種も一緒に啄ばんで、この茂みに糞をしたものが発芽したようです。こうした光景は至る所にあるのですが、実生は得てして先祖返りするのでその木には沢山の太いトゲが木の表面をまるでカラタチのように覆っているのです。

 夏に確認した実はその後晩秋になると色づき、今は枝もたわわに見えるのですが、果実が果汁を溜め込むとその重さで日に日に木が傾き、下を通る軽四トラックの屋根をこするようになってきました。古いロープで他の木に誘引して縛りつけておきましたが、いつの間にかそのロープも重さに耐えかねて切れてしまい、相変わらず垂れ下がって、実の中には擦られて傷がついているものもあるようなので近々に針金で再び誘引使用と思っています。
 はてさてこの夏みかんの実は食べられるのか?、これがみんなのもっぱらの関心事ですが、多分先祖返りの原種ゆえ酸っぱくて食用にはなりにくいので、マーマレードの原料にしてはどうかと、密かに思っています。昨年はわが家の甘夏ミカンを使ってマーマレードを作ってみんなに大層喜ばれたので、人間牧場産の地産地消には最適だと密かに思っています。

  「鳥の糞 そこから夏柑 芽を吹いて 今では立派 成木実をつけ」

  「夏蜜柑 果たして味は どうだろう 興味津々 色づき始め」

  「夏蜜柑 この実使って マーマレード これぞ地産 地消とするか」

  「実るほど 頭を垂れる 夏柑は 誘引しても 元の木阿弥」

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