人間牧場

〇クヌギの木を切る(その1)

 昨日は水仙まつりのダイガラ餅つきが終った午後2時30分に、親友井上さんと2人で、井上さんの持ち山へクヌギの木を切りに出かけました。井上さんの4WD軽四トラックに同乗し、2年前人間牧場の薪にするクヌギの木を切りに出かけた見覚えのある場所でしたが、そこまで行く農道には夏草の名残でしょうか、背丈ほどもある草が生い茂り、歩いてはとても分け入ることができないほどになっていました。井上さんはかまわず草を踏み潰すようにドンドン進みました。

 回転場の茂みに車を止め、井上さんが大事に育てている杉山の中を歩いてくぬぎ山へ入りました。井上さんは林研グループに所属して、杉の苗木を自分で挿し木して育て、それを植林しているのです。昨日入った杉山は、「いつどのようにして枝打ちしたのだろう?」と思うほど、梢の近くまで綺麗に枝打ちされ、美林の片鱗を覗かせていました。クヌギ山に到着すると井上さんは慣れた手つきで、チェンソーのエンジンを始動させ、次々と頃合なクヌギの木を根元から伐採し始めました。馴れているのでしょうか、倒れる方にチェンソーの刃を入れて半分ほど切ったら、今度は反対側から再び切ると、勢いよく音を立てて下へ向かって切り倒されました。

 余りの見事な技術にあっけにとられて見ていましたが、私の手伝いは植林した杉の近くにあるクヌギの木が杉の木を傷めないよう、クヌギの中ほどの枝にフックをかけ、ロープで引きつけて倒すのです。7~8本そういう作業を繰り返し、目論見どおり杉の木を痛めることもなく作業を終えました。
 井上さんは私が教育委員会で社会教育の仕事をしていた頃の青年団長で、若い頃から何かにつけて気心の知れた間柄で、色々な人生の相談にも乗って来ました。今は地域事務所のトップになっていますが、後3ヶ月で定年を迎えるのです。

クヌギの木を伐採する井上さん
クヌギの木を伐採する井上さん

 井上さんは山仕事が好きで暇さえあれば自、分の持ち山に入ってただ黙々と山の仕事をしているようです。笑いながら「金にもならない山仕事」と言っていますが、確かに井上さんのやってることは今日や明日の稼ぎにはなりません。ましてや美林を作っても多分自分の代でそれがお金を産むようなことはないでしょう。でも千年杉とまでは行かなくても百年杉を育てるような目論見には私も大賛成なのですが、人を育てることを第一にしている私とでは、少し開きがあるような気がするのです。
 井上さんと一緒に切った木は、少し分けてもらって人間牧場へやって来る子どもたちと一緒にシイタケの種ゴマを打ち込み、シイタケを生やしたいと思っています。シーズンオフといわれる冬のこの時期、私の活動はもう既に来年度の活動に向けて動き出しているのです。

 

 

 

 

 

 

  「クヌギ山 通じる山道 夏草の 名残りか背丈 踏み潰し行く」

  「冬寒い 山谷こだま チェンソー 響き渡りて クヌギ伐採」

  「驚いた 木を切る技術 いつの間に 次から次へ 面白いよう」

  「このクヌギ 春には車 積み込んで シイタケ菌を トントン打ち込む」

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