人間牧場

〇天災は忘れた頃にやって来る

 人間はいい加減なものだとしみじみ思います。数日前までは1ヶ月間も、雨らしい雨が降らず、加えて連日の猛暑でくたくたになって、会う人毎に「雨が欲しい」と言っていました。柑橘地帯では渇水対策本部が設置され、雨乞いまでしたというのに、このところの思わぬ長雨にたたられると今度は、「もう雨は要らぬ」と、これまた会う人毎に恨み節とも取れる会話を交わしながら、雨の止まぬ空を見上げながら恨めしそうに過ごすのです。
 確かに今年の天気は異常続きです。山口や島根の水害や昨日埼玉・千葉で突如として起こった竜巻の被害は異常気象としかいいようがありません。

 昨日テレビを見ていると、午後2時過ぎに埼玉県と千葉県で竜巻と見られる激しい突風が起こり、住宅の屋根が飛ばされたり、窓ガラスが割れたり、あの強靭なコンクリート製の電柱まで根こそぎ倒れる様子がリアルに映しだされました。アメリカの竜巻の様子等を映画や映像で見たことはありますが、日本でも同じような被害が起こったのです。
 気象庁によると上空の寒気は平年並みだったものの、大気下層に温かく湿った空気が流れ込み、不安定な状態で、強い竜巻をもたらすことが多い積乱雲「スーパーセル」が発生した可能性が高かったようです。

 私はテレビや新聞で、スーパーの安売りセールならぬ、「スーパーセル」という言葉を初めて知りました。数キロから100キロ程度の幅で回転する積乱雲で、被害をもたらすような激しい竜巻はスーパーセルに伴うものが多いようです。普通の積乱雲は降雨などによる下降気流と上昇気流が同じ場所にあり、一時間程度で消滅しますが、下降気流と上昇気流が異なる場所でできるため、数時間持続するのです。内部に反時計回りの渦「メゾサイクロン」を持ち、被害はより大きくなるのです。
 大雨や津波はある程度予想され、避難や防ぎようもあるのでしょうが、竜巻は避難や防ぎようが今のところないようです。

 極端に暑かった夏、局地的ゲリラ豪雨に見舞われた夏も、やっと終わりに近づきましたが、はてさて私たちの住んでいる日本は、四季があって自然の美しい国といわれています。でもこうも災害が起こると、いつわが身に降りかかるかもしれない不安に、おののいて暮らさなければならず、首を傾げたくなるのです。
 「備えあれば憂いなし」というけれど、「天災は忘れた頃にやって来る」のです。二度も大きながけ崩れに遭って、大きな被害を経験したわが家ゆえに、竜巻の事故も人事とは思えないし、被害に遭った人の心情を垣間見るのです。ああ悲しきかな災害の国日本です。

  「降らぬのも 困るけれども 降り過ぎも これまた困る 自然身勝手」

  「昨日まで 一雨欲しいと 言っていた 今日はまた雨 空を見上げて」

  「竜巻は アメリカ大陸 そう思い 安気していた いやいや日本も」

  「電柱が 根こそぎ倒れ すさまじい 命あるだけ まだまだましと」

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