人間牧場

〇竹で葺いた屋根

 人間牧場のウッドデッキから見ると、眼下に瀬戸内海や水平線、青い空が180度の視界をとなって目に飛び込んできます。このコスモス(宇宙)と呼ぶに相応しい空間こそ、人間牧場の人間牧場たる所以であり主張なのです。その視界を遮るように邪魔をしているものが、電柱と電線、それに杉の木とローケーション風呂の屋根です。最初はそれらが気になって仕方がありませんでした。やって来る来訪者もそのことが気になるらしく、時々ご指摘を受けますが、朝日新聞に勤務しその後鳥取県議会議員になった砂場さんは、「電柱や電線は心の目で消せばいい」と言いました。視界を遮る杉の木を見たある人は、「ふるさとのこの松切るな竹切るな」と高浜虚子の句を引用し、緑を大事にしている私の心を誉めてくれました。

息子の発案で竹で葺いたロケーション風呂の屋根
息子の発案で竹で葺いたロケーション風呂の屋根

 はてさてロケーション風呂の屋根は如何なものか?と疑心暗鬼になっていましたが、人間牧場の建物を設計したわが息子は、屋根に真竹を半分に割り節を丁寧に取って交互に並べて葺いてくれました。当時は資金もそんなに余分がなく始めたので、竹で屋根を葺くと竹代だけでも有に10万円はするのです。私は費用、息子は意味を主張し真っ向から対立しましたが、結局私が折れて屋根は竹で葺きました。
 あれから8年が過ぎました。何がなく訪れる度に見ている光景なので、それほど気にもせず見ていますが、やって来る来訪者の中には竹で葺いた屋根を誉めてくれる人もいて、私ではできなかった発想と行動に、わが息子ながら感心しているのです。

 さてロケーション風呂の竹で葺いた屋根はどのくらい寿命があるのでしょうか。最初息子が「切り時のいい竹なので10年くらいは持つかも知れない」と言っていたこと思い出しました。8年が過ぎた今にして思えば、「もうそろそろか」と、屋根の様子を注意深く見ているのです。
 環境に優しいとか、景観に配慮した考えは頭の中では分っていても、お金がかかるものですから、中々取り組みにくいものです。でももしロケーション風呂の屋根がトタンだったらどうだったのだろうと思うと、10万円の費用もさることながら、やってよかったと思うのです。
 はてさてそろそろ10年、屋根の葺き替えのための10万円の費用を、これから工面しなければならないようです。

   「ロケ風呂の 屋根竹で葺く 10万円 息子押し切り やってよかった」

  「景観は 金で買えない ものゆえに 気配りしつつ 大事にしつつ」

  「10年の 寿命間もなく やって来る 新た10万 用意算段」

  「10年は あっという間に やって来る 残りの余命 目算しつつ」

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