人間牧場

〇長年のコンプレックス

 私は自他ともに認めるほど字が下手で、子どもの頃から字の上手な人を羨ましく思っていました。どうしたら字が上手く書けるか練習もしてみましたが、結局は長続きせず、自分の字が下手のは親から受け継いだ遺伝子のせいだと自分を納得させて生きてきました。一番困ったのは体調を壊しそれまでやっていた重労働の漁師が出来なくなり、ひょんなきっかけで役場に転職してデスクワークが仕事になったことでした。

届いた達筆な残暑見舞いのハガキ

 当時はワープロやパソコンのない時代で、タイプラーターはあっても殆どは手書き文字でした。上司から「若松さんの文字は特徴があってハンコが要らない」などと、褒めようのない文字を半分腐されもしましたが、丁寧に書くことを第一にして得意の弁舌でカバーしながら何とかその場をしのぎ、終盤普及したワープロとパソコンに助けられて、35年間の役場勤めを無事終えることができました。

 もう20数年も前、「一日3枚のハガキを書いたら人生が幸せになれる」という言葉に出会い、それから毎日毎日3枚のハガキを飽きもせず書いていますが、ハガキを書きながらいつも心の隅に「字が下手「」というコンプレックスを感じています。それでも腐ることなくハガキを書き続けているのですから、余程強心臓の持ち主だと、自分自身呆れ返っています。

 私が毎日3枚ハガキを書き投函してると、私宛のハガキも沢山来るようになって、ハガキによるアナログ交流の輪がどんどん広がっていまが、中にはとっておきたいようなとても綺麗な筆文字のハガキもくるのです。世の中には達人がいるものです。字が下手なことをコンプレックスと考えず、これが私の個性だと思い、恥ずかしながらこの達人に今朝、勇気を出してハガキを書きました。これから投函しに郵便局へ出かけます。

「字が下手と コンプレックス 持っている 練習しても 上達もせず」

「世の中にゃ 達筆な人 いるもので 先日届いた ハガキに感心」

「近頃は 下手な文字でも 個性だと 開き直って 一日3枚」

「アナログを 自称している 私ゆえ これから先も ハガキは書きたい」

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