人間牧場

〇久万高原町成人式の記念講演に招かれました

 昨日は久万高原町から成人式の記念講演依頼があって早朝より出かけました。記念講演の依頼を受けてから年末年始にかけて久万高原町の天気予報が妙に気になり始めていました。というのも12月に鳥取県の伯耆大山の麓で思わぬ大雪に逢い、スリップ事故を起こした経緯があって、久万高原町に行く国道33号線三坂峠付近は県内でも久万スキー場があるほど雪が積もる所ですから、雪道の怖さを知っているのです。講演依頼の窓口となっている教育委員会の鶴井さんとこのことについて再三メールで連絡を取り合い、もし雪や凍結がある場合は麓の砥部町まで迎えに来てもらう約束をしていました。
 前日鶴井さんから電話が入り、雪も凍結もない旨の確認がありました。妻はそれでも三坂峠の雪が心配で、仕事の休みを理由に一緒について行くと言うのです。妻がついてきたからといって雪や凍結による事故がなくなる訳ではありませんが、たっての希望なのでしぶしぶ了解し家を8時半過ぎに出ました。
  昨日は雲ひとつない冬の四国愛媛県地方にしては珍しい快晴の上天気で、遠くに雪を被った西日本最高峰の石鎚山が美しく見えました。放射冷却現象で朝の気温はかなり低かったものの、車の中はポカポカ陽気で順調に三坂峠を越えました。三坂峠は740m程の高さにあるため道の両側には多少雪が残り、久万高原のあちこちには1月4日に降った雪が残っていて、冬の寒さを感じさせました。

 私が講演している間妻は久万高原町を散策するため、久万高原町役場前の駐車場で降ろしてもらい、私は歩いて会場となっている久万高原町産業文化会館まで歩いて行きました。お約束の10時きっかりに会館内に入り、ステージ裏の楽屋に設えてもらった講師控え室へ案内されて入りました。暖房の効いた部屋でお茶をいただきながら式典の終るのを待ちました。式典は時間通り10時40分に終了し、町長さんや河野県議会議員さん、教育長さんなど顔見知りのお偉い人が楽屋へあいさつに見えられました。特に河野さんとはお父さんが久万町長をしていたり、河野さん自身も若い頃塩崎潤国務大臣の秘書をしていた時代から長く付き合いしていて、わが私設公民館煙会所には「自彊不息」という大臣の掲額をいただき、今でも大切に飾らせていただいているのです。
 その後促されてステージに上がりました。ステージは演台と生花、それに看板類だけというシンプルさです。懸垂幕には演題「青春のメッセージ」人間牧場主若松進一とお気に入りの文字が書かれていました。やがて開会を告げるブザーが鳴り緞帳が上がりました。客席には約80人の着飾った新成人と来賓が並んで座っていて、少し緊張の面持ちでやわら話を始めました。相変わらずレジメを用意することもなく淡々と話し始めました。青春時代に人生を生きていく上で大切と思われる①仲間、②ふるさと、③主張、④感動する心という4つの道具を手に入れたことで自分の人生がとても充実したこと、二十三歳の時に作った生活設計が役に立ったこと、人間が本来持っている4つの願望を実現させるための方策、潜在能力を顕在化する生き方などなどをマイクを通して語り掛けました。

 最近まで日本全国各地で起こっている成人式の不祥事が頭を過ぎり、私のような人間の話を着飾った新成人は聞かないのではと多少懐疑的な気持ちもありましたが、どうしてどうして久万高原町の80人の新成人は1時間10分の全てを熱心に聴いてくれました。実は3年前々久万高原町の成人式に招かれ同じ場所で記念講演をしているのです。あの時は帰宅すると参加した一人の新成人からお礼と感想のメールは入りました。またもう一人の新成人からは人間牧場を訪ねたいと電話が直接入り、後日この若者は人間牧場へやって来て瀬戸内海を見下ろす眺望に感激して帰りました。
 講演終了後ステージで記念写真に納まり全てを終えて会場を後にしました。県内では正月と昨日と明日にかけて1万4千5百人余りが新成人として成人式を迎えるようです。成人式に記念講演を聞かせるといったオーソドックスな式典をする市町も随分減ってきたようですが、私は人生の門出に当たり、人の話に耳を傾けることもいいのではないかと思っています。聞かないからやらないという迎合型は如何なものかとも思うのです。
 私が好きな言葉に「面白きこともなき世を面白くすみなすものは心なりけり」(高杉晋作)、「足は野につき心は天に向かって開く」(西郷隆盛)、「ロマンとは考えを形にする行動力である」(ジョン万次郎)、「鮮やかに想像し熱烈に望み心から信じ魂を込めた熱意を持って行動すれば何事も実現する」(ポール・J・マイヤー)。私の人生を一言で語るならやはりこれらは全て金言であり、いい影響を受けたと思っています。新成人の皆さんも誰でもいいから誰かの言葉を座右の銘として心に望みを持って生きて欲しいと願っています。

  「新成人 私の話に 頷いて 一時間余も 耳を傾け」

  「新成人 縮む社会で 生きている 未来に希望 持てないままに」

  「近頃は 成人の日さえ 分からない 祝日だから 十五日でいい」

  「青春は 年齢で無し 心がけ 私にだって 今も青春」

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