shin-1さんの日記

○小さな贅沢

 午前中から午後にかけて人間牧場の今夏最後の草刈りにいどみました。一昨日あたりから天気が秋に転じたのか、炎天下は暑いものの木陰を吹く風は涼しく、草刈機の給油の度に水平線の家のウッドデッキに、大の字になって寝そべり空を見上げると真っ白い雲が真っ青な空をゆっくりと流れ、ついウトウトしました。それでも夏の水不足のせいか草は柔らかく草刈機の刃にまとわり付いて切れが悪く、かなり苦労しましたが、やっと綺麗に全てを刈り終わり、秋を迎える準備が出来ました。

 昨夕は広島・岡山と650キロも走った旅の疲れもあるし、久しぶりに風呂に行こうと妻が誘うものですから、大洲の嵯峨野の湯へ行きました。妻は友人たち数人と高校野球の優勝予想の当てやいこをしたそうですが、素人で高校野球も分らないのに見事的中したそうで、その景品として風呂券を二枚貰ったらしくご機嫌に、「お父さん今日は私のおごりよ」と風呂券は500円以下だというのに何と気前のいいことでしょう。「じゃあ行くか」と妻は仕事から帰って直ぐに親父の夕食を作って持って行き、「直ぐに帰るがちょっと出かけてくる」と言い残し午後5時に家を出ました。

 普通松山へ行く上りの道は見慣れた光景ですが、大洲や八幡浜へ向って走るとダントツに車の数も少なく、何処か田舎の風情を感じ少し落ち着いた気持ちになります。それは妻も同じで、一緒の屋根の下で毎日毎日暮らしながら、会話の少なくなりつつある年齢に達すると、こうでもしないと中々会話の機会が少ないことにも気付きました。今は昔のように会話で喧嘩することや衝突することも殆どなくなりましたが、久しぶりに会話が弾んだドライブでした。

 嵯峨野の温泉で約1時間余りを過ごしました。これほど離れている場所の温泉なのに知り人は結構いるもので、「若松さんではありませんか?」「今日は何しに来られました?」「あなたは退職されたそうですが今は何をしていますか?」「この間伊予銀の雑誌であなた人間牧場の紹介記事を読みました。人間牧場へ行くのにはどうすればいいですか?」と質問攻めにあう始末で、オチオチ温泉にもこれないなあと苦笑してしまいました。

 温泉を出た所に嵯峨野というレストランがあります。ここで食事をすると温泉の割引券がもらえることを妻は知っていて、ここで夕食を食べようという話になりました。最近私たち夫婦は別々の物を頼みます。そして二人で半分ずつ食べ合いするのです。食べる量の少なくなった私たちの苦肉の策で、こうすれば少量他品目を楽しめるのです。私は蕎麦とうな重のセット、妻は蕎麦とお鮨のセットを注文し、海草サラダを一品加えました。やがて料理が運ばれ贅沢にも豪華な料理に舌鼓を打ちました。毎日三度の料理を作り、毎日三度の片づけをしなければならない妻にとっての外食の魅力は上げ膳下げ膳なのです。私も妻も外食が嫌いで余程のことがない限り余り出かけませんが、それでもささやかで小さな贅沢に満足、満腹の夕食でした。

 私たちの食事は子どもがそれぞれ独立したため、栄養過多となるような肉類が陰を潜め、海の町らしく魚と野菜中心の食事に変化しました。私の胆のう摘出手術の影響もあって脂肪分の少ない食事に切り替わったのです。お陰で少し痩せ気味の私も、少し肥え気味の妻も体重的にはベストコンディションに近付きつつあるようです。この上は健康によいものを食べることは勿論ですが、たまには妻の労働軽減も考えて外食も悪くはないと思いました。

 昨日は聞こえは悪いのですが、結局妻の当てやいこで貰った風呂券が元手の散財となりました。妻が「お父さん今度はお父さんの番よ」と、暗に私の小遣いからのおごりを期待しているようです。私の財布はいつも妻が管理をして入れてくれているので、私のお金ではないので、「ああいつでもいいよ」とやり返しました。まあ犬も食わない夫婦の話をしてしまいましたが、こんなささやかな幸せをこれからも追い求めて行くことが、本当の幸せなのかも知れません。

  「儲けたと 得意げになる 妻の弁 風呂券二枚で 鬼の首取る」

  「ささやかな 食事を二人 分け合って 食べる幸せ これも幸せ」

  「湯に浸かる 壁の向こうの 妻思う トドの入浴 似ているような」

  「温泉と 食事セットの むつまじさ 久しぶりだな こんなのんびり」 

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