shin-1さんの日記

○漁師のストライキ

 漁師がストライキをするなんて話は今まで聞いたことがありませんが、一昨日の7月15日、漁業経営危機突破全国大会が東京で開かれ、そのイベントに呼応して全国の漁師さんが一斉に休漁となりました。私の町にも二つの漁協、三つの漁港(一つは形だけの漁港)がありますがが、15日は漁船全てが港に係留されていました。港も魚市場も人の姿が見られず、猫さえものんびり昼寝を楽しんで散閑としていました。

 漁港は普通船が出漁すると何やら広々として寂しく、逆に休漁の時は漁船がひしめいて活気を感じるので逆の感じがするものなのですが、この日は全国一斉休漁というニュースが1週間前から流れてその日を迎えただけに何処か寂しく、何処か考えさせられる一日でした。マスコミは相変わらず反応が早くいち早くこのニュースを取り上げていましたが、その主たる原因が世界を揺るがす原油高にあるので、こんな田舎の小さな漁船や漁民も国際化の波をもろに受けなければならない出来事に、何処か可笑しい感じさえするのです。

 私の町は伊予灘という瀬戸内の海ながら外洋性の高い漁場を持っています。冬の風浪の高い地域なので他地域のような養殖事業が皆無で、漁民は漁船漁業に頼って暮らしています。故に漁船は主に重油や軽油を使って遠くは佐田岬半島沖や山口県周防灘にまで出漁し生計を立てています。このところの原油の高騰は異常で、長く続いた安定期の油代の3倍というから尋常ではありません。今は5トン15馬力という底引き網の規格といえど、エンジンの性能がよくなったため油もよく使い、一回の出漁で1万5千円から2万円もの燃料代がかかるのです。これを単純に計算すると安く見積もって1万5千円とした場合でも出漁日数150日×1万5千円=2百25万円、高く見積もれば出漁日数150日×2万円=3百万円となりますが、毎日コンスタントに5万円の水揚げがあったとすると150日×5万円=7百50万円の水揚げとなるのですが、その5分の1.5若しくは5分の2が油代として消え、漁師さんの手取りは5百万から4百50万になります。そこから漁具資材代や漁船保険代などの必要経費をを差し引けば、夫婦や兄弟二人乗りの船の収入は押して測るべき小額になってしまうのです。

 今回のストライキの波紋は様々な漁業を取り巻く内情を垣間見ました。原油高という国際問題、仲買人との力関係、魚を巡る流通システムなど様々です。特に国民の魚離れによる消費の落ち込みと魚が飛行機やトラックに乗って運ばれ一次加工されないと食べられない流通システムは国民が選択支持しているだけに厄介な問題なのです。

 日本はいつの間にか魚よりも肉を好む国民になりました。故に外国から肉を輸入しなければならなくなり、BSEなどの問題が発生し社会に衝撃を与えました。港に上がった魚は地産地消どころか人間様も滅多に乗らない飛行機に乗ったり車に乗せられて都会を目指し市場や工場に運ばれ、まな板や包丁を持たない消費者に半調理若しくは調理されて店頭に並ぶのです。漁村でありながら港に揚がった魚を買い求めて食べることなど殆どできないのです。お百姓さんが作った野菜、漁師さんが獲った魚をお百姓さんや漁師さんが売り歩いた時代はもう遠い遠い昔の放しになってしまったのです。地元の周囲10キロ圏内で出来たものを食べると健康にいいという単純な願いはもう叶えられないのです。

 漁師さんの味方のような話ばかりを書いてきましたが、今回の止むに止まれるストライキをただ休漁すればいいのではなく、漁師さんもこの事に気付き何処か可笑しいこんな社会を変えるきっかけにして欲しいと思っています。

  「やるもんだ 漁師が何と ストライキ 油を安く だけではないぞ」

  「今頃に なって消費者 驚いて 魚見直す 日本は愚か」

  「魚消え 魚の値段 高くなり 逆に魚が 肉に変わりて」

  「今朝獲れた 魚飛行機 乗って行く 目指す所は 東京ですって」

 

[ この記事をシェアする ]