人間牧場

〇三宅島から届いたカサブランカの花

 「お父さん、三宅島の佐久間さんから今年も綺麗なカサブランカの花が届いたよ!!」と、出生先の雪の積もった鳥取県から帰る途中の、松山駅まで迎えに来てくれた妻が車の中で言いました。もう何年も前、東京で開かれた全国監査委員の研修会で私の講演を聞いた佐久間さんの口利きで、東京都の市町村議会議員研修会に招かれ、加えて三宅島まで講演に招いてくれたりしたのも三宅島の佐久間さんでした。東京都とは言いながら三宅島は四国からは余りにも遠い太平洋に浮かぶ島ゆえ、深い交流もままなりませんが、こうして律義にも毎年花を届けてくれる佐久間さんの心の優しさに、思わず目頭が熱くなりました。

玄関に飾られたカサブランカン花

 一昨年亡くなった親父が若くて元気な頃、木の葉のようなわずか5トン30馬力の若吉丸に乗って、三宅島や神津島辺りまで県外出漁したり、私も愛媛県立宇和島水産高等学校の実習船愛媛丸に乗って赤道を越え、珊瑚海まで遠洋航海に出かけた折、行きと帰りに三宅島付近を通過したことを思えば、縁の深さを感じるし、敬愛してやまない歴史上の人物ジョン・万次郎の生涯も、暴風大しけの伊豆諸島付近の海を経て鳥島まで流され捕鯨船に助けられた経緯もあって、伊豆諸島や三宅島への想いは一生涯忘れることのできないものなのです。

 送られてきたカサブランカの花はそれは見事なもので、妻は早速花瓶に入れて玄関先に飾りましたが、時折わが家を訪ねてくる人たちは、花の少ないこの時期だけに、「まあ珍しい、綺麗なカサブランカの花ですね」と褒め讃えてくれるのです。その度に津桃若嫁も、「実はこの花はお父さんの友人で、三宅島に住む佐久間さんという方がわざわざ送ってくれたものです。綺麗でしょう」と一言添えて紹介しているようです。演歌ながら鳥羽一郎の「カサブランカ」という歌を懐かしく思い出しながら口ずさみました。今日にでも佐久間さんにお礼の便りをしたためようと思っています。

  「雪積もる 参院鳥取 帰るなり 迎えの妻が 花の知らせを」

  「玄関の 大きな壺に 花いっぱい 季節外れの カサブランカ見る」

  「三宅島 東京都だが 遠い島 いつか再び 訪ねてみた」

  「律儀さに 思わず目頭 熱くなる 古き親友 思い出しつつ」

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