人間牧場

○徳島県で一番小さい村訪問記(その1)

 ご多聞に漏れず愛媛県の市町村が平成の大合併で、70市町村から20市町になったように、徳島県でも24の市町村に再編されたようです。愛媛県では今回の合併によって村という自治体は完全に姿を消しましたが、高知県では馬路村や大川村が残っているし、徳島県でも佐那河内村が残っていて、今も合併する意向もなく残って生き延びているところを見ると、平成の大合併は果たして何だったのか?と首を傾げたくなるような気持ちになるのです。
 そんな徳島県唯一の、いわば徳島県で一番小さな村佐那河内村から講演の依頼があって出かけることになりました。かつて私は何年か前、佐那河内村に山で接する神山町や上勝町へ講演に出かけたことがありますが、その折は初めて訪ねたこともあって、えらい山の中だとイメージしていたし、佐那河内村という名前だけ聞けば大変失礼な話ですが、山間僻地のイメージも拭えませんでした。しかしいざ出かけてみると徳島市と隣接していて、不便どころか近い位置にあることを実感しました。

 それでも伊予インターから高速道路に乗って松山道を走り、川之江ジャンクションから徳島道を藍住インターまで約200キロ走り、そこから山道国道を20キロ余りの道程ですから、ゆっくり走って3時間余りかかりました。前述の佐那河内村は遠いという先入観を持っていたので、午後からの講演でしたが少し早目に自宅を出たため昼過ぎに到着しました。
 カーナビの目的地である佐那河内村役場を一旦通り越し、少しだけ村内視察をしようと奥まった道を走りました。道端に資源ごみストッカーが見えたので路側帯に車を止めて見学しました。基本的なことですがその町や村の地域づくりのレベルを見るには公衆トイレ、ゴミストッカー、花壇等を見れば長年の訓練でおおよそのことは分かるのです。資源ごみストッカーは整然と清潔に保たれていて完璧でした。また空き缶十字群などとイラストで描かれたパロディ看板も中々味のある取り組みでした。遠くの雪を被った峰々には20基近くの発電風車が威風堂々と見えました。

 開会時間が近づいてきたので役場まで引き返し、役場前野駐車場に車を止めると、運よく夜の講演の担当である日下さんに出会い、村長室へ案内されました。「いやあお会いしたかったです」といきなりニコニコ顔で村長さんに出迎えられました。聞けば徳島県由岐町、合併後の美波町の親友小坂進さんとは長年のお付き合いだそうで、のってから大いに話が弾みました。
 実はこの日の講演は、会場が佐那河内村になっている徳島県公民館連絡協議会の主事部会の現地研修が先に計画されていました。その講師に愛媛県公民館連合会専門委員という肩書きのの私が講師となっていることを聞きつけた村長さんが、折角佐那河内村に私が来るのだったら、是非地域づくりの講演会を夜に開きたいと申し出があったのです。その夜は遅くなるので徳島市内に泊まって頂きたいとのことで、ホテルを予約していただいていましたが、明くる日のスケジュールが立て込んでいるため、講演終了後帰りたいとホテルをキャンセルしてもらいました。

 午後の研修会は佐那河内村の市原公民館長さんの事例発表と私の講演の二本立ててで、「これからの公民館のあり方」について90分ばかり、徳島県下各地から集まった80人を前に、自慢の毒舌でお話をさせてもらいました。第一線で働く館長さんや主事さんたちばかりなので意識も高く、いい雰囲気の集会となりました。村長さんも研修会に最初から最後まで同席して私の話を聞いていただきました。首長さんは日常業務が忙しく、とても研修会で講演を聞く余裕などないはずなのに、こうして時間を割いてもらい恐縮千万、頭が下がりました。
 研修会が終って村長室で雑談をさせてもらい、佐那河内村出身の有名な書家の「龍」と書いたビッグサイズの色紙をいただきました。また美味しい佐那河内村特産の立派なももいちごまでお土産にいただき何とお礼を言ってよいやら・・・・。昨日で私はすっかり徳島県で一番小さい村佐那河内村の大ファンになりました。これからは講演のつれづれに、すだちの里・ももいちごの里であるこの村を大いに宣伝したいと思いました。

  「ももいちご 素敵な特産 ネーミング ほっぺ落ちたる ほどの美味しさ」

  「徳島で 一番小さい 村だけど やってることは ビックなサイズ」

  「ゴミや花 トイレを見れば その町の レベルが分かる 長年経験」

  「村長の 村を愛する 心触れ こちらの心 までもほのぼの」

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