人間牧場

〇「進ちゃん」あんた誰?

 昨日の夕方ウォーキングに出かけました。エンゼル薬局の前を通りかかると、一人の女性が薬局前のベンチに座っていました。私と目が合ったその女性は「進ちゃんお元気。あなたは誰?」と、私に質問され一瞬ドキッとしました。確かに私の愛称である「進ちゃん元気!!」と言った口の下なのに、「あんたは誰?」と聞き返すのです。「私は役場に勤めていた進ちゃんよ」と話すと、「ああ若松の進ちゃんかい。歳を取ったら顔は覚えているのに名前が思い出せんのよ、つまらんかい」と嘆き節を聞きました。

 その人の心に傷つけないように、「私も同じでこの頃は物忘れしていけません」と返せば、「まだあんたは役場へ行きよるの?」、私「もう役場を辞めて14年になります」、「あんたが若い頃は地域の公民館によく足を運んでくれて楽しかったわい。夕日やシーサイド公園もあんたのお陰ですっかり有名になりました」と述懐してくれました。私の顔と名前が一致して、もつれていた記憶の糸がほぐれたのか、昔のことを懐かしく思い出しながら話されました。

私はかつて35年も役場に勤め、公民館活動やまちづくり活動に深く長く関わり、今もボランティアとして活動をしています。私の名前は若松進一ですが、愛称は「進ちゃん」で通っています。このおばあちゃんや大人ならまだしも、地元の小・中学校の児童生徒までもが私のことを、「進ちゃん」と愛情を込めて呼んでくれています。町中を歩いて出会う人の殆どは、かつて活動を共にした人たちですが、私と同じようにみんな歳を取り、体の不調を訴えながら昔の思い出を懐かしんでいます。過疎や高齢化の波が、まるで津波のように押し寄せています。

「進ちゃんと 枕詞を 言ったのに あんたは誰?と 認知のマダム」

「認知症 発症してるが 昔日の ことは鮮明 覚えて話す」

「町歩く 会う人毎に 立ち話 みんな年寄り 足腰弱る」

「年寄りと イノシシの数 都会並み お悔やみ欄は 連日盛況」

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