人間牧場

〇木彫りに挑戦

 私は木とか石とか、自然が長年かかけて作り上げてきたものに興味があり、特に一年にひとつずつ年輪を刻んだ木の木目板や、天を覆うように枝葉を伸ばす大木を見ると、自分の短い人生を重ねながら、その土地にしっかりと根を張り、風雪に耐えて生きてきた木々の凄さに敬服するのです。ゆえに自らが主宰する私塾の名前を年輪塾としたり、高知県奈半利町に住む坂本利男さんからいただいた、150年生の高知県馬路村産魚梁瀬杉で造った台の上に座って、落語ならぬ落伍を演じて、集まった人たちを笑わせています。

坂本さんから貰った魚梁瀬杉の端材
チェンソーで腐った部分を切り落としました

 10年ほど前、その坂本利男さんから魚梁瀬杉で造った木製盛り皿をいただきました。今も特別な料理にだけ大切に使っていますが、その折「暇ができたら何かを作って」と、50㎝四角の魚梁瀬杉の端材をいただきました。その頃は忙しく倉庫の隅に置いたままにしていましたが、昨日孫たちのために造ったミニハウスの看板を造るべく倉庫に入ると、その端材が目に留まりました。看板を造るため自動カンナなどを出していたので、思い切ってその端材をチェンソーで腐ったり劣化している部分を切り落とし、チェンソーで切り目を入れて、ノミと金槌で彫り始めました。端材は杉と言っても年輪がまるで雲のように込み合い、一筋縄ではいかないようでした。

 坂本さんから貰った木製大皿などには及ぶべきもありませんが、これから1年くらいをかけ、暇を見つけて彫って行こうと思っていますが、不器用を自認する私ゆえ、はてさてどうなることやらです。こんな時になるとついつい3年前に亡くなった、器用だった親父のことを思い出し、時すでに遅しながら「生きていたら助けてくれたのになあ」としみじみ思いました。倉庫を改造した家の離れ「海の資料館海舟館」には、親父の遺品がこれでもかというほど、ずらり並んで残されています。私の物などあっても、必ずどこかに親父の手が加えれれているのです。この歳になったので、少し親父の真似事でもしましょうか。

 「高知県 馬路村産 魚梁瀬杉 端材貰って 倉庫眠らせ」

 「高知県 友人貰った 木の器 不器用ながら 見よう見まねで」

 「チェンソー 自動カンナを 使い分け 木彫り挑戦 どうなることやら」

 「ありそうで なさそう時間 使い分け 今しかできぬ やりたいことを」

 

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