人間牧場

〇7千5百円で手に入れた大学(その2)

 左幸子さんならぬ右進一で、「呼ばれたら刑務所以外何処へでも行く」をモットーに講演を引き受けた私は、はてさて浅学菲才なわが身を恥じつつ話の構想を考え、二宮金次郎の銅像の話をしようと思い、手始めに現役では愛媛県で一番古い木造校舎で有名な、わが町の翠小学校校庭にある二宮金次郎銅像を訪ねました。校長先生の許しを得て台座の上に上がり金次郎の左手の本を見て驚きました。

大阪梅田の古書街で手に入れた大学という和紙本
二宮金次郎が読んでいる大学の一節「一家仁なれば・・・」

 漢字が26文字書いていました。読めない私は鉛筆と紙を借りて拓本を取って持ち帰り、町内の小学校3校、中学校2校の校長先生に「何と読むか?」「その意味は?」とFAXを送信しました。おっつけ5人の校長先生から『読めない」「意味が分らない」旨の電話が入りました。次の手として県教委の国語の指導主事の先生にFAXしたところ、「これは中国の古書大学の一節である」「意味は国家とは国と家である。国も家も上に立つ人が仁の道(正しい行い)を行なえば繁栄する」とのことでした。

 大学を出ている校長先生がが大学の本を読めず、意味も分らず、大学も出ていない少年姿の二宮金次郎が大学の一節を読んでいるという落差に苦笑しながら、そのことを話題にして講演した右進一の話は大いに盛り上がり、無事左幸子さんの代役を果たすことができました。その後大阪へ出張した折、梅田の古書街のある店の店頭で、ノジの抜いた古ぼけた「大学」の本を見つけました。値札に1万円と書いているのを店番をしていた可愛らしい店員女性に「5千円にしてくれ」、「半額には負からない。そんなことしたら社長に叱られる」、「じゃあ中を取って7500円で」「仕方がない売りましょう」で一件落着となりました。

  「講演の 話題提供 金次郎 読んでる本に 漢字ズラズラ」

  「拓本を 取ってFAX 校長に 読めない返事 電話戸惑う」

  「指導主事 これは大学 一節と 意味も含めて 教えてもらう」

  「古書街の ある店店頭 古書見つけ 値引き交渉 手に入れ嬉し」

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