人間牧場

〇上灘川の鯉

 昨日の夕方、前日から強く吹いた北西の季節風も幾分収まったので、一万歩を目指す仕上げのウォーキングに出かけました。いつもは通らない市営住宅付近の上灘川沿いの道を歩きながら、ふと上灘川を覗き込むと、堰堤下の深みに、沢山の鯉が泳いでるのが見えました。黒い鯉に混じって黄金や紅白の鯉が泳いでいましたが、中に見覚えのある鯉を何匹か見つけました。

川で泳ぐ私が放流した鯉たち

 実はわが家には10年ほど前まで池があって、鯉を沢山飼っていたのです。存命だった親父は昔から凝り性で、飼っていた鯉は一匹数十万円もするものもいて、近所では話題になり見学に来る人もいるほどでした。私も忙しく、また親父も寄る年波で世話も思うに任せず、ある日突然止めると言い出しました。高価で立派な鯉は鯉飼育仲間に無償で譲り、浄化槽一式も世話になった業者に差し上げ、残った鯉は上灘川の深みに放流したのです。

 放流しても多分水に流されてその内いなくなるだろうと思っていましたが、どうしてどうして鯉は放流した場所に住み着き、同じように放流された鯉とともに、今に至って生き延びているのですから驚きです。川の生態系を考えると、在来種以外の生き物を入れることは決して好ましいことではありませんが、島根県津和野町内を流れる川に沢山の鯉が放流されて泳いでいる姿を見たことを思い出しましたが、久しぶりに親父に出会ったような懐かしさでした。

 ちなみに鯉を飼っていた庭の池はその後、補修をして地下室に生まれ変わり、その上に日除け用の小屋まで私と親父が協働して建て、ちゃっかり梅干しや梅酒の冷暗保存庫として使い重宝しています。地下室には年代物の梅や梅酒が沢山収納されているので、年末までには中の保存物を外に出して、年一回の大掃除をしようと思っています。

  「ウォーキング 川を覗くと 見覚えの ある数匹の 鯉が泳いで」

  「10年も 前に放流 生き延びた 鯉に親父の 思い出重ね」

  「庭の池 今は地下室 なりにけり 梅干し梅酒 一杯格納」

  「わが家も 何事もなく 見えるけど そこここすっかり 様変りして」

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