shin-1さんの日記

投稿者: | 2008年7月2日

○相談に乗ってください

 最近私の元へある主婦から一本の電話がかかってきました。「若松さんですか。先日雑誌で人間牧場の記事を読みました。素晴らしい運動や活動をしているのですね。実は相談がありまして、私の主人が近頃うつ病なのですが、何かいい方法はないでしょうか」というのです。私は精神科の医者でもないし、ましてやうつ病は素人の力で治るほど簡単なものでないことを知っているので、通院しているお医者さんの指示に従って気長に治療するよう丁重にお断りをしました。しかしその主婦は一度人間牧場を訪ね私と会って話だけでも聞いて欲しいと懇願するので会う事にしました。

 昨日は梅雨の晴れ間で視界もよく、眼下に穏やかな瀬戸内の海を眺めることができました。やってきた主婦は40歳、ご主人は43歳だそうです。私は奥さんだけだと聞いていたのに、ご主人がどうしても一緒に行くというので連れてきたというのです。お二人は人間牧場のあちらこちらを散策しながら水平線の家のウッドデッキの涼しい陰の部分に腰を下ろし、私と向かい合って3人でお話をしました。粗方なことは奥さんから電話で聞いていたので心を解きほぐすように少しずつ話しを聞きました。

 通常、うつ病の人に「頑張れと言ってはいけない」と理解されていますが、はたして全てがそうかというと、それほど単純なものではないのです。人が生きていくには最低限必要なのは食べたり寝たりするような生活を維持していくことが必要です。そのためには日々の生活を頑張らなくてはなりません。そういう頑張りがあってこそ初めてその上に、人生の楽しさや嬉しさが生まれてくるのです。問題は頑張りそのものではなく、うつ病になりやすい頑張り方と、うつ病になりにくい頑張り方があるのです。

 「頑張って生きて辛いですか」と尋ねるとご主人は「はい」と胸の内を明かしてくれました。ご主人は頑張ること=辛いことという生き方をしているように思えました。頑張ることは辛いことだけではなく楽しいことがいっぱいあることを、私の体験を交えて話しました。

 私は人間牧場を造るために色々な夢を描きました。そして人間牧場を造るために日々頑張りました。大きな木を切り、まるで西部開拓史という映画のヒーローになったような気分で少しずつ開墾したのです。多分それは今思えば辛さと楽しさが一体であったような気がするのです。

 これを旅に置き換えればこのご主人は旅人です。歩くことは手段で日々の頑張りは単なる義務でしかないのです。旅先で何をしたいのかはっきりしないし、ひょっとしたら自分が選んだ目的地ではなかったと後悔しているのかも知れません。旅そのものはただ歩くだけではなく、見える景色や出会う人、時には美味しい食べ物だってあると期待をするのです。そうすればその旅を選んだことを肯定するような気持ちになれるのです。

 「旅の仕方を変える」「頑張り方を変える」「ものの見方を変える」、そんな話しを2時間もお話しました。こんな話で「ああ治った」と吹っ切れるほどうつ病は軟い病気ではありません。生きつ戻りとしながら自分の心を少しずつ強くしていく以外ないのです。人間牧場はそういう意味からいうと心や頭を空っぽにしてゼロに戻れる場所だと思います。今まで持っていた重い荷物や心のしがらみを一度肩から降ろし、ゼロにしないと再出発はできないのです。

 昨晩奥さんから電話がかかってきました。帰りの車の中で、そして家に帰ってからご主人と色々話したそうですが、少し光が差し込んだような感じだと話されていました。そしてまた私の話しを聞きに人間牧場へ再訪したいとご主人が言ったそうです。

 縁もゆかりもない人ですが、この奥さんにとって私は藁をもすがる気持ちだったに違いないと思い、「いつでもどうぞ」とお話しました。

  「うつ病の 人がこの頃 増えてきた 真面目人ほど 病気にかかる」

  「俺などに 相談しても 直らない それでも門を 叩く人あり」

  「ガソリンが またまた値上げ 年金で 食っている人 これまた悩み」

  「旅人の マントを脱がす そのコツは 風ではなくて 太陽ですね」

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